「日本兵の遺体が山積みに」…ロシアの“英雄”となった99歳の元ソ連兵“満州の惨状を証言”―ウクライナ侵攻への憤り #戦争の記憶
世論の2/3「和平交渉に移行すべき」 情報統制への警鐘
ロシア反体制の調査機関「レバダセンター」が実施した2025年7月の世論調査によると、ウクライナにおけるロシア軍の行動を「支持する」が74%、「支持しない」は16%。依然として支持率は高いものの、回答者の3分の2は「和平交渉に移行すべき」と考えている。
トリンコフさんは、争いは力ではなく対話と譲歩で解決すべきだと考えている。
戦後は内務省で働き、退役軍人の組織も率いてきた。国を愛するがゆえ、対話が遮断された祖国の行く末を案じる気持ちも強い。
「友好を妨げる問題がどこにあるでしょうか。国民が何も理解していないと考えるべきではありません。情報があれば、人は考え判断できます。情報を遮断しては考える機会すら奪ってしまいます」
戦火が繰り返される中、安心して暮らせる日を願いながら暮らしている。
※この記事は北海道ニュースUHBとYahoo!ニュースとの共同連携企画です。英雄として過ごしてきたソ連兵の話から、80年前の満州侵攻と3年半前から続くウクライナ侵攻を考えました。
編集後記
いまのロシアにとって日本は「非友好国」。なぜ日本メディアの取材を受けてくれたのか、インタビューの最初に質問すると想定外の答えが返ってきた。
「当時も今も日本に敵意を持ったことはない。戦争は政治が始めたこと。私は日本も日本人も好きです」
トリンコフさんは笑顔ではっきりと答えた。
ロシアには年に2回「戦勝記念日」がある。1つは5月9日の「対ドイツ戦勝記念日」、もうひとつは9月3日の「対日戦勝記念日」。ソ連軍による満州侵攻の後、日本が降伏文書に署名した翌日とされる。
この満州侵攻に従軍し、今もモスクワで暮らすトリンコフさんが「特別軍事作戦」を「愚かな選択」と断じたことは驚かされた。戦後は内務省に勤務し退役軍人としての活動にも力を入れてきたからだ。
トリンコフさんは取材中、「平和的手段で解決を」と繰り返し訴えていた。前線の悲惨な光景や、戦後の苦難の記憶と実感が込められているようで、言葉の重みを感じた。
戦争を知らない世代の私たちは、想像力を持って考える必要があるだろう。
平和を願い続ける人々の思いが実を結ぶのか。これからもロシアのウクライナ侵攻を注視していきたい。