【ヒグマに襲われた緊迫の瞬間】5秒間にらみ合いの後、左前足で男性の顔をめがけて攻撃…フンから“餌不足”の実態 「中身は草が8割…山の中に食べ物がない状況がうかがえる」〈北海道札幌市〉
「あ!いま銃を構えました、あ、いま発砲しました!」(鎌田祐輔記者)
札幌市内では2021年、東区の住宅地にクマが出没。
男女4人が次々と襲われる被害がありました。
この時以来となる深刻な事態に近くの小学校でも不安が高まっています。
「怖いなと思う。(学校から)なるべく送迎をするよう言われている。(子どもへ)遠くへ行かないでと言っている」(保護者)
現場付近では9月29日もハンターらが捜索を行いましたが、これまでに駆除には至っていません。
公園には林との境界線に約400メートルにわたって電気柵が設置されました。
なぜ、クマは人が生活する市街地にまで出没するのでしょうか。
その謎を読み解くカギが、現場に残されたクマのフンにありました。
「フンの中身は草が8割。相当、山の中に食べ物がない状況がうかがえる」 (札幌市環境局 坂田一人課長)
餌不足の実態が、周辺の森林で行われた調査でも明らかになってきました。
「今の時期にクマが食べるドングリなど、木の実がほとんど見られなかった。秋は冬眠に備えるために、たくさん食物を食べる時期。それがないと街に下りてくることも増えると思う」(札幌市環境局 清尾崇さん)
全国で相次ぐ街中でのクマの出没。
9月からは法改正により、自治体の判断で発砲が可能となる「緊急銃猟」の制度がスタートしました。
9月20日、山形県鶴岡市で初めてその判断がなされました。
体長約1メートルのクマが市中心部の住宅の敷地内に侵入し居座ったため、現場にいた市職員から市役所に連絡。市長が発砲の許可を出し、現場に伝えられました。
その直後、クマが動き出し人に接近したため 「緊急銃猟」の許可は間に合わず、現場にいた警察官の命令で発砲。
従来同様の「警察官職務執行法」に基づいた発砲でした。
現場でクマが発見されてから駆除まで、1時間以上を要しました。
その後、鶴岡市の皆川治市長は今回の全国初の判断を踏まえて「ハンターや警察と日ごろから連携している現場の市の職員に、緊急銃猟の判断を委任していくことが必要だと考えている」と述べました。
迅速に対応するため、今後は現場の市職員に権限を委任する方針だということです。
法律上は市町村長に実施判断の権限がありますが、環境省のガイドラインでは緊急的な対応のため委任することを推奨しています。