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地域の資源と人を活用しながら持続可能な未来をつくる 「井出商店」井出敬也さん #BOSSTALK

道内経済 友だち追加

父親の昔ながらの経営方針に反発 市場依存から転換し事業を順調に拡大

市場依存から転換し事業を順調に拡大

市場依存から転換し事業を順調に拡大

――お父様が経営する数の子の加工販売会社「カリフッド」に入ったわけですね。

「入った翌年、得意先との取引で億単位の焦げ付きが出ました。父は私に突然、『今日、社長を変わる。おまえが社長をやれ。金を借りてくる役だ。(会長に就く)おれの仕事を見て学べ』と言うのです。お金は借りることができました。ただ、父の仕事はハチャメチャでした。昭和は景気も良く、モノを持ってくれば売れて儲かった。平成8年に社会に出て就職して受けた教育は、在庫を持つリスクを取るなという守りの経営です。昭和の経営(を貫こうとする会長)の父と、平成の経営(への転換を進める社長)の私。お互いに歩み寄る余地がありませんでした」
――お父様には成功経験に基づく経営哲学があるわけですね。
「私が(経営の立て直しに向け)市場から離れ、大手量販店さんと直接取引をしようと、売り込んだ結果、会社は順調に発展しました。そうすると、十分だと想定以上に翌年の注文量が増えることがあり、父からは『買えるときは、しっかり買っておけ』と言われました。その点については父の言うことを聞きました」

「自分はこの町に受け入れられていない」 悔しさが地方に目を向ける転機に

2024年 地場海鮮を味わう「IWANAI BANYA 魚希」オープン

2024年 地場海鮮を味わう「IWANAI BANYA 魚希」オープン

――北海道と関わりを持つきっかけは?

「事業が順調に伸びる中で、自社工場を持とうとして、岩内町の今の工場に巡り合いました。いずれは東京に近いところに移転する予定で、仮住まいのつもりでした。10周年の祝賀セレモニーで、役場や地元の方にご案内を出しましたが、だれも来てくれませんでした。それまで地元との関わりがなく、自分がこの町に受け入れられてないかを思い知らされました」
――地元にコミットするようになったきっかけは?
「コロナ禍の経験が大きいですね。新型コロナウイルスという得体の知れないものと戦いながら、地方は生産活動を続けて、都市部の生活を支えている。そこまで懸命にやっているのに豊かさを実感できない。地方って一体、何なのだと思いました」
――どういう取り組みを始めましたか。
「当時の従業員の平均年齢の65歳ぐらいで、これでは事業は継続できない。やはり若い人に来てもらいたい。若い人はお子さんが小さく、お金がかかるので、お給料を思い切って上げました。備品購入の際、数社から見積もりを取り比べていましたが、できれば岩内町、次に後志、最悪でも北海道の会社から購入するように変えました」



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