「技術がなくなるのは全人類の損」“老舗のうどん”次の世代へ…廃業の危機を乗り越え若手へバトンつなぐ挑戦 北海道東川町
地元で愛されるうどんを後世まで残したい。
北海道上川地方の東川町で廃業の危機に直面していた老舗の製麺所が、若き職人の情熱によって引き継がれました。その思いに迫ります。
道産小麦を主な原料に、特別な製法で実現した食感が自慢のうどん。
その味にお客さんも、この表情です。
「歯ごたえが全然違いますね」(客)
「つるつるして、のど越しがいいからね。おいしいです」(客)
東川町の名物、羽衣製麺のうどん。
生み出したのはこの道57年の大ベテラン、久保尚義さん82歳です。
多くの町民に愛されたソウルフードですが、実は2022年暮れに食べられなくなるはずでした。
「やめようと思ってたんです。80歳も超えて体力もないし」(久保 尚義 さん)
失われかけた地元の味を守りたい。
立ち上がったのは久保さんの麺を仕入れていた地元の飲食店「笹一」です。
札幌のコンサルティング会社と協力して製麺のノウハウを受け継ぐ「事業承継」を申し出ました。
「何十年と培ってきた技術がなくなっちゃうのも僕は全人類の損だと思ったので、残してやると心に決めてやりました」(事業承継を申し出た「笹一」 寺林 幸一さん)
この日、製麺所では朝早くから機械の音が響いていました。
「近くに(久保さんが)いるんで、まだ聞きながらやってます」(藤田さん)
久保さんから麺づくりの技術を伝授されたのは、笹一でそば職人を務める、藤田忠志さんです。
自らのもとで1年半の修行を積んだ藤田さんの姿に久保さんも満足そうです。