「OSO18」「アーバンベア」相次いだ“クマ被害” 人里での目撃数増加はドングリなど「エサ不足」が原因…深刻化するクマ脅威に“オープンデータ”で対策も
2023年、北海道で起きたニュースを振り返る「プレーバック2023」。
4回目の今回は、道内各地で被害や目撃が相次いだ「クマ」がテーマです。
「え?待って!怖い!」
「わかったから!わかったから!」
威嚇するかのようにバックする車を追いかける親子グマ。
これは2023年5月、日高の新冠町で撮影された映像です。
クマの目撃が相次いだ道内。
目撃件数は11月末時点で3970件と過去5年で最も多かった2022年の2240件の約1.8倍と過去最多となり、深刻な状況となっています。
人が襲われる被害も相次ぎました。
道南・福島町の大千軒岳では11月、大学生がクマに襲われ死亡。
さらに、このクマは大学生のほかにも登山中の消防隊員のグループにも襲い掛かりケガをさせていました。
また、2023年5月には上川の幌加内町で釣り客がクマに襲われ、死亡する事故も起きています。
連日のようにクマのニュースが話題となった2023年。
流行語大賞のTOP10には2019年から道東で乳牛66頭を襲い、世間を騒がせた「OSO18」。
そして人里に出没する「アーバンベア」という言葉が選ばれるほど注目が高まった年でした。
2019年から乳牛を襲い続けたOSO18。
警戒心が強くわなにもかからないことから「忍者グマ」などと恐れられてきましたが、2023年7月、釧路町で駆除されました。
そして人里に出没する「アーバンベア」。
9月には札幌市南区南沢にある大学の敷地内にクマ1頭が出没し一時騒然となりました。
クマは猟友会によって駆除されました。
2023年、札幌でクマが目撃されたのは12月現在で227件と、2022年の162件を大きく上回っています。
冬の足音が迫る11月になっても札幌市西区山の手では住宅の裏側を通る親子グマ3頭の姿が防犯カメラに…
クマの生態に詳しい専門家は目撃数の増加は「エサ不足」が原因だと指摘します。
「冬眠前は相当な量のエサを食べなくちゃいけないんですけども、その時の主食になる食べ物がドングリですね。この秋のドングリのなりは悪かった。ですので人里に出没した」(北海道大学 獣医学研究院 坪田 敏男 教授)
札幌市の目撃件数を詳しく見ると227件のうち、南区が156件、西区が34件です。
2つの区だけで全体の8割を超える状況となっているのがわかります。
専門家は今後もこの傾向は続くと指摘します。