新ひだか町発 酵素で育むブランド豚の可能性 「猪野毛ファーム」猪野毛優作さん
帰郷と手探りの加工事業立ち上げ
――その後、実家に戻る決断をされたきっかけは何だったのでしょうか。
「銀行の業務は数年ごとの転勤があります。ちょうど4年経った転勤のタイミングで、一度実家に戻って何かできないかと考え、退職しました。ただ、父親は戻ってくると思っていませんでしたし、むしろ事業を縮小しようと考えていた時期だったので、迷惑だったと思います。給料も渡せないと言われ、他の牧場でのアルバイトをしながら、父親から養豚を学び、並行して加工業務の勉強を始めたのです」
――そこから、どのように加工事業を展開していったのでしょうか。
「もともと父親は生産で手一杯でしたので、お肉の加工は外部委託し、パックされたものを売るという形をとっていました。私はその事業を引き継ぎ、売り先を増やすことから始めました。ちょうどコロナ禍でネット販売の需要が高まっていた時期とも重なり、評判も良かったので、自分たちで加工した方がいいと確信しました。そこで空き家を買い取り、DIYで加工場を建てて、設備を揃えて本格的にスタートしました」
豚肉の魅力を直に伝える「豚しゃぶ」の挑戦
――新たな会社を立ち上げた狙いはどこにあったのでしょうか。
「生産と加工販売ではコスト構造が異なります。仕入れて売る形の方が生産コストの計算も明確ですし、商業と農業を分けて明確化したいという意図がありました。現在は、生産の運営は父親が行い、私は別事業として加工・販売・飲食を担っていますが、育てる段階では二人で連携しています」
――飲食店「豚しゃぶ火影」をオープンした経緯を教えてください。
「ブランド豚として付加価値がついている分、どうしても値段は普通の豚肉より高くなってしまいます。それを地元の方にもっと気軽に食べてほしいという思いがきっかけです。当社の豚肉は、しゃぶしゃぶにした時にアクが極めて少ないのが特徴です。その強みを体験してもらうには、しゃぶしゃぶ屋が最適だと考えました」
――地元の方の反応はいかがですか。
「アクが出ないことに皆さんびっくりされます。その姿を見るのがとても嬉しいですし、お店で美味しさを知っていただくことで、親戚や知人へのギフト需要など、新たなつながりが生まれています」

















