【札幌公演】“バレエ×舞踏×歌舞伎”異色の融合―熊川哲也率いるKバレエ・トウキョウと東急文化村が立ち上げた“Kバレエ・オプト”の新作『踊る。遠野物語』_麿赤兒が"命がけ"で舞う
バレエ、舞踏、そして歌舞伎。全く異なる3つの身体性が融合する、予測不能な舞台が2026年1月、札幌で公演されます。世界的バレエダンサー・熊川哲也さんが率いるKバレエ・トウキョウや東急文化村が立ち上げた実験的プロジェクト「Kバレエ・オプト」の新作、『踊る。遠野物語』です。
演出・振付は独創的なダンスで世界を魅了する森山開次さん。さらに舞踏家・麿赤兒(まろ あかじ)さんや新進気鋭の歌舞伎役者・尾上眞秀(おのえ まほろ)さんも加わりました。
民俗学者・柳田國男が怪異や伝承をまとめた日本民俗学の出発点「遠野物語」がベース。一体どんな世界が繰り広げられるのか。森山さんと麿さんに作品にかける想いを聞きました。
特攻隊員が迷い込む幻想世界「鎮魂に向かう切ない旅路」
――遠野物語をどのように舞台作品へ落とし込んだのですか?
森山 遠野物語を構成する119話一つ一つは断片的で何か大きな物語があるわけではありません。
一方で、この119話を通じて柳田が伝えようとしたことを浮かび上がらせるために、横軸として主人公の「私」が遠野の幻想世界をめぐるというストーリーにしました。
「私」は遠野に墜落した戦闘機の特攻隊員。遠野物語が語るこの世とあの世の遭遇にヒントを得て、「私」が死に別れた許嫁の幻影を追い求め、最終的に鎮魂に向かう切ない旅路を描きます。
歌舞伎俳優の尾上眞秀さんには「私」をガイドするような存在を担ってほしいと思っています。麿さんの役どころは、この世界をしっかりと見詰める「山の中の翁」のようなイメージです。
麿 異界のような近づけないところに、生きている人間がなんとか近づこうとする、そのための折り合いの付け方がさまざまな伝承になって表れるのだと思います。
柳田が記した世界観は僕にとってはすごくピタッとくるんです。
日本人全員が持っているある種の想念のようなものが根底にあって、僕の創作する舞踏の中にも、どこかにそういうミステリアスな部分があります。
だから、僕にとっては今回、「里帰り」のような感覚で踊ることになるのかなと思っています。

















