【熊に遭遇したら】ヒグマ防除隊長による徹底解説「予想超えた状態」激増する市街地への出没「クマがパニックになるトリガーは人間にはわからない。個体数を調整しなければいけない日は目前に迫っている」<札幌市>
―札幌でクマの事件というと、2021年6月に東区で起きたクマが4人の方を次々と襲った事件が頭をよぎるのですが、またこのような状況になってしまうことはあるのでしょうか?
「4年前に出没したクマと、いま西区に出没しているクマとはちょっとだけ状況が違うと思います。東区のクマは水路をつたって突然人間の居住圏のほうに入ってきてしまったことで、もとに戻れなくなってしまってパニックになったことがありました」
「今回の山の手周辺の、山林近くのクマはエサが足りなくなってきて、徐々に人間の生活圏に踏み出してしまっている。このような点でどちらが冷静であるかと考えると、今回の西区のクマの方がパニックにはなっていない、冷静と言えます」
―市街地深くに入りこんでしまったクマはなにをしでかすかわからない状態にあるのではないでしょうか。
「そうですね。クマがパニックになってしまうトリガーは人間にはわからない。そのようなときにどのように対応するか。あるいは個体数を調整していかなくてはならない日も目前に迫ってきている」
―西区にはヒグマ警報が発令されています。早朝深夜に散歩したり山に登ったりするのが本当に危険ということをもう一度認識してもらうことが必要だと思うのですが…
「その通りだと思います。今後一生この状態を続ける必要はないが、今年はクマのエサが少なく餓死する個体もいるだろうし、人里にでてくることで捕獲される個体もいる。そうすることで個体数が調整される。やがてバランスがとれるまで、危険なときには(クマが出そうな場所には)行かないというように生活を考えてほしいです」
もしクマに出くわしたらどうするか。
知床財団のホームページによると『とにかく落ち着いて行動する』ことが大切だそう。
クマとの距離が100mほどだったら、静かにゆっくりと離れることを心がける。
クマとの距離が20mから50mほどだったら、ゆっくりと両腕をあげて振り、穏やかに声を出す。クマに「ここにいますよ」「人間ですよ」ということを伝えることが重要となります。
さらには障害物の後ろに隠れることが重要だそう。
―この対応についてどのように思いますか?
「指摘するならば、クマがすぐに乗り越えられるような障害物に逃げてはいけません。ブロック塀のような丈の低いものはクマの障害物にはならないので、太めの木を抱えるような格好で逃げるとよい。直進するクマに直撃されないような状況を作ることが大切です。しかしそのような対応に迫られるような状況をつくる前に、しっかりと距離を保って対応することが大切です」


















