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創業145年 老舗として歴史を守りつつ“食”で地域づくりに挑戦 「五島軒」若山豪さん#BOSSTALK

道内経済 コラム・特集 友だち追加

コロナで巣ごもり需要が高まる中、食品製造の強化で苦境を乗り切る

カフェテラス「ブリューネ&エリザベス」

カフェテラス「ブリューネ&エリザベス」

――函館に観光客が来ない状況もあり、食品製造の方にかじを切られたのですか?

飲食事業は落ち込みましたが、おうちで食事などを楽しむ「巣ごもり需要」が出てきました。東京の方で北海道フェアをたくさん開催してくださり、レトルトカレーやケーキが東京にどんどん出荷されるようになりました。レストランの苦境は食品製造が頑張って、何とかコロナ(の苦境)を乗り越えました。

―― それを含め、社長に就任し、どういうことに取り組みましたか?
これまでは歴史を守るスタイルが多く、老舗だから、どっしり構えて手を出すときは慎重になることが多くありましたが、函館や五島軒の歴史を知ってもらおうと、発信したのがこれまでとの大きな違いです。江戸から明治にかけて函館は開港都市で国際的なまちでした。住んでいた外国人の生活様式を錦絵にまとめたものが当社にあり、その錦絵をお菓子のパッケージに使いました。また、幕府の侍だった当社の初代の料理長と一緒に(函館戦争を)戦い、映画「ラストサムライ」のモチーフになったフランス人の士官、ブリュネさんの名前にちなんだカフェサロンも今年、作りました。守りも大事ですけれど、引き出しにしまっておくと、だんだん古びていくので、引き出しから出して、歴史を活用することがすごく大事だと思います。

昆布だしのカレーを商品化 水産のまちの活性化も期待

昆布だしの「ほたてカレー」

昆布だしの「ほたてカレー」

――今、力を入れて取り組まれていることは?

地元の高校でSDGs(持続可能な開発目標)をテーマに授業を行い、函館でどういう産物を残したいかを一緒に生徒さんと考えたことがあります。函館は、すごくおいしいだしがとれる真昆布の日本一の産地なのに、十分に周知できていませんでした。生徒さんは昆布の守りたいとおっしゃっていたので、真昆布でカレーを作ってみました。私たち(のレストランの料理)はフランス料理やロシア料理が起源なので、ブイヨンを作るのを基本にやってきましたが、1回、昆布だしに転換してみたのです。味わったクラス40人中の35人が昆布だしの方がブイヨンよりおいしいって言うんです。そう言われ、当社の社内は落ち込みましたが、商品化を決めました。真昆布は今まで大阪の問屋さんに全部運ばれ、(朝廷などに高級品として届ける)献上昆布と言われていました
――関西はだし文化ですから昆布を非常に大事にしますね。
漁師さんには真昆布がどこで食べられているのか、あまり見えていませんでした。その昆布が地元のカレーに入り、漁師さんがすごく喜んでくださりました。地元の生徒さんも、漁師さんも、みんなが地域で取り組むことを増やすのは地域の生き残りのためにすごく大事だと思います。