【傍聴記録・判決】嘱託殺人 22歳の女性の命を奪った54歳男に"懲役6年"判決 遺族は「模倣する人が現れないことを願う」
そして、量刑の理由が語られました。
▼井下田裁判長:SNSで最近知り合っただけで、殺害を嘱託した理由も聞かないなど人間関係は希薄であり、女子大学生の意思が強固であっても、殺害すべき理由などどこにもない。断ることに何ら支障もなく、その機会はいくらでもあった。
▼井下田裁判長:虚偽の事実を交えて嘱託殺人を引き受けると説明しており、その言動が女子大学生の意思を強固にしたと言える。人の生命を軽視し、反社会的であり、非常に悪質な事案で、厳しい非難に値する。嘱託殺人の中でも重い類型に位置づけられる。
▼井下田裁判長:もっとも、この事件は女子大学生の嘱託に基づいていて、計画性があることや殺意が強固であることを過度に重く考慮できない。量刑上考慮すべき前科がないことを考慮する。
井下田裁判長は懲役9年の求刑に対し、懲役6年の実刑判決を言い渡しました。
小野被告は姿勢を変えることなくまっすぐと裁判長を見つめて話を聞いていました。
消えぬ怒りと悲しみ 「いまだに娘がいないことに現実味を感じられません」
判決公判の後、代理人の弁護士を通じて、女子大学生の両親が心境を公表しました。
▼女子大学生の遺族:裁判官が小野被告の犯行が許されないことだと厳しい言葉で批判してくれたことには満足していますが、懲役6年というのは率直に言って短いと思っています。
娘はいろいろな問題を抱えていましたが、夫婦一緒に娘の問題と向き合いながら、一生懸命育ててきました。そのことを思い返しても、こんなにもあっけなく終わってしまうのか悔しい気持ちです。
娘は小さい頃から頭がよく、面白い子でした。自宅でニュースを見ていても、いまだに娘がいないことに現実味を感じられません。どうしてこんなバカなことをしてしまったのだろうと思います。
小野被告には、この事件のことを一日たりとも忘れることなく、短い期間の間でも罪を償ってほしいと思います。
また、小野被告のような犯行を模倣する人が現れないことを強く願っています。