人とクマの接近...野生動物との適切な距離とは? 「人慣れ」を防ぐ人間側のマナー
さらには子グマがビニールをくわえ、遊ぶ姿も…。
白雲岳避難小屋を管理する団体の代表・岡崎哲三さんは、この状況に危機感を訴えます。
北海道山岳整備 岡崎 哲三 さん:「これを続けると、ヒグマも人なれをしちゃって。さらに人に接近して、人は怖くないんだ。人間とクマの距離が30mを切ってると聞いた。30mは本当にクマが本気を出したら、一瞬で迫ってくる距離。
子グマがいる中で、こっちのことをちゃんと認識していて、子グマなんかしっかりこっちを見ながら、いるっていう状態。本来はちょっとありえない状況だなと」
白雲岳避難小屋は現在もクマが居座っていて、テント場の閉鎖が続いています。
大雪高原温泉。
特に、ヒグマが多く生息するエリアで、人とクマの距離を保つため、日々、巡視員が登山者へのレクチャーやクマの行動を観察しています。
北海道山岳整備 岡崎 哲三 さん:「前日の食痕ですね。こういうのが結構特徴的だったりするんですよね。クマは歯が全部とがっているので、スパッとかみ切ることが出来ない。シカだとちょん切ったようになっているんですけど、こういう風に繊維が残ったり噛み跡がばらばらしている時は、クマの場合が多いです」
高原温泉では、日々、巡視員がクマの痕跡や行動を観察し、コースの規制などで、登山者との接近を防いでいます。
北海道山岳整備 岡崎 哲三 さん:「これはきのうのフンですね。あんまり胃袋でしっかり消化できないんですね。クマの場合は食べたものがほとんどそのまま出てくるので、何を食べたかよくわかる」
巡視中にも遠くの斜面にヒグマの姿が。
吉井 庸二 気象予報士:「ヒグマが斜面をゆっくりと歩いています」
ここでも2023年、ヒグマと人の距離を壊しかねない事態が起きていました。
北海道山岳整備 岡崎 哲三 さん:「ここにおにぎりが置いてあったんだと思います。あ、ここに米粒がまだ残ってますけど、ここら辺に1個あって、そのあたりに欠片が散らばっていたという感じですね」
クマが人間の食べ物の味を覚えてしまうと、人に付きまとってしまう危険な状況になっていた可能性があります。
大雪山で人とクマが共存するためには、一定の規制が必要だと岡崎さんは感じています。