“良いママ”じゃなきゃダメ? 女性を追い詰めたSNSのキラキラした「理想像」 #マイノーマル
合計特殊出生率 全国最低水準の北海道
このような社会的なサポート体制の重要性が高まる一方で、地域における厳しい現実もデータとして浮き彫りになっている。
国が6月に発表した北海道内の合計特殊出生率は東京都(0.96)に次ぐ全国最低水準の1.00を記録した。
現代の子育て問題と家族生活に詳しい札幌学院大の工藤遥准教授は「親になる世代の人数そのものの少なさ、未婚化、結婚したカップルから生まれる子どもの数が少ないなどが要因」と分析する。
また、若い世代で「共働き、共育て」の意識が広がる一方、仕事を休むことへの職場の理解など社会が追いついていない現状も指摘した。
「家族の在り方が非常に多様化している。家庭ごとの生活がうまく成り立ちながら、望むような子育ての仕方や働き方ができるのが重要。社会として子供ができても生活していけるようなサポート、働き方を考えていくことが必要」
親の隣に ボランティアが孤独感を解消へ
「一度相談したら大ごとになるのでは」と、相談窓口への心理的ハードルを感じる親は多い。
そうした家庭の孤立を防ぐため、札幌市の一部の地域(2026年度は西区・手稲区)で試行されているのが、頼みやすさを重視した「家庭訪問ボランティア(ホームスタート事業)」だ。
利用は無料で、子育て経験があるボランティアが未就学児のいる家庭を訪問する。
一般的な家事代行やベビーシッターとは異なり、親の代わりに作業をするものではない。
一緒に公園を散歩したり、離乳食を作ったりと、同じ目線で時間を共有し「一緒にやる」ことで弱音を吐けない親の逃げ場となり、孤独感を解消するのが狙いだ。
利用者からは「穏やかな気持ちで子どもと接することができるようになった」との声もあり、「困り果てたときの救済措置」ではなく、「親の心を整えるメンテナンス」として機能している。
ママが「1人じゃないんだ」と思える場所を
凪彩さんも「親のメンテナンス」に取り組む1人だ。次女・紬生ちゃんの出産を機にライターとしてSNSなどで発信を始めた。
SNSはあくまでツールであり、自分の基準を持って取捨選択することが重要だとした上で、「完璧を目指さなくていい」「社会で助け合えばいい」とママに寄り添う。
「第三者に甘えること」も、子育てにおいて必要なスキルだと凪彩さんは考えている。
行政の支援や、産後ケアホテル、ベビーシッターといった選択肢を知り、あるいは使い、弱音を吐ける第三者を見つけることを勧める。
「子育てに正解はないし、完璧なママなんてこの世には存在しません。もし今、何かに追い詰められているなら、少しだけ気を抜いてみてほしい」。
情報があふれる令和の時代…何気ない「フツー」という物差しの板挟みにならず、子育てができる社会がいまこそ求められている。
※この記事は、北海道ニュースUHBとYahoo!ニュース・LINE NEWSによる連携企画「#マイノーマル」です。働く、学ぶ、暮らす、老いるーー時代や立場で変わる「普通」を見つめ直し、人と人が理解を深める手がかりを探ります。
編集後記
取材中、凪彩さんが絞り出した「隠れてミルクを作った」という言葉が胸に刺さった。
育児の現場においては、誰もが孤独を抱え込む可能性がある。
理想と現実の狭間で、どこか「こうあるべき」という見えない「普通」を探し、疲弊してしまう日常がそこにはある。
「自分だけではない」と分かち合える場がもっと必要だ。性別や役割に縛られることなく、誰もが自分らしい「マイノーマル」を見つけられる社会であってほしい。
孤立させない支え合いの仕組みが、これからの当たり前になることを切に願う。



















