【ヒグマ最前線】衝撃映像の一方…目撃件数は"半減" 原因は北海道の山に起きている異変!? 揺らぐハンターの最前線「猟友会依存は異常」専門家
2024年4月、北海道根室市の林道を走る1台の車。
「あ、いたいた」
1頭のクマが突進してきました。
車はボコボコの状態に。
「来た。やばいぜ!」
プレイバック2024。
2024年も相次いだクマの出没。
揺れるその最前線を追いました。
2024年はヒグマの出没ピタリと止まる?原因は山で起きているある異変…
北海道内では2024年も各地でクマが目撃され、衝撃的な映像も撮影されました。
しかし、目撃件数は11月末時点で2581件と、過去5年間で最多だった2023年の同じ時期の半分ほどです。
その理由は…
「十何年間歩いていて、こんなドングリやクルミの実もなったことはないです。今年は異常にある」(登山客)
クマのエサとなるドングリ。
不作や凶作が続いていましたが、2024年は回復。
10年ぶりに並作となったのです。
「今年、5月6月7月はいつも通り出没していたが、秋は出没が止まった。それはエサが豊富で広い範囲エサ探しに動き回る必要がなかったんだと思います」(北海道ヒグマ対策室 武田 忠義 主幹)
ヒグマ最前線のハンターが出動できない!?背景には猟銃所持を取り消された砂川市のハンター
しかし、いつどこで姿を現すのかわからなくなっているのが現代のクマ。
札幌の市街地も例外ではありません。
2021年には札幌市東区の住宅街にクマが出没しました。
「あ、人が、あー人」(撮影者)
襲われた男性が大ケガをしました。
そうした際、最前線でクマと向き合うのがハンターです。
クマが出没した際、多くの自治体では北海道猟友会の支部に出動を要請し、ハンターが駆除します。
しかし2024年11月、北海道猟友会が市町村の出動要請に応じないよう、各支部に通知することを検討していることが明らかになりました。
その背景には2018年、北海道砂川市のハンターがクマ駆除のための発砲をめぐって猟銃所持の許可を取り消された問題があります。所持の許可を取り消された北海道猟友会・砂川支部長・池上治男さんです。
「ヒグマにあたった弾が跳ねてあっちにいったりこっちにいったりすることは物理的や数学的に考えられない」(池上さん)
駆除の際、池上さんが発砲した弾が、付近の建物に当たる可能性があったとして北海道公安委員会から猟銃所持の許可を取り消されました。
池上さんは北海道に処分取り消しを求める裁判をおこしました。
しかし10月、2審の札幌高裁は池上さんの訴えを退けました。
この判決を受けて猟友会が検討した結果、自治体や警察との連携が不十分な場合には出動要請を拒否するよう各支部に通知することを決めたのです。
UHB調べによると札幌・旭川・帯広などの支部は、従来通りの対応としています。
一方、渦中の砂川支部は。
「ヒグマ出て痕跡調査してくれとかだったら行くようにしているが(駆除要請あっても)現実的にはいまの状況では撃てない」(池上さん)
また広尾など一部の支部は出動を拒否する方針を示しています。
求められる早急な安全体制の構築…専門家は
今後はどうしたらいいのか、専門家に聞きました。
「猟友会はあくまで趣味の団体。猟友会に依存している現在の体制はそもそも異常。行政がしっかり体制を整えて捕獲も自らできるような職員配置をすることを本気で考えなければいけない時期にきている」(酪農学園大学 伊吾田 宏正 准教授)
新たな安全体制の構築が急がれています