【人気小説が原作】亡くなった母親とAIで"再会" 映画『本心』公開…芥川賞作家・平野啓一郎さんが描いた世界「5年で実現」予測も 求められるAI活用の世界的なルール
「もっと喋りたかったなとか、もっと父との時間を大事にすればよかったなっていう後悔があるので、そこがあるから会いたいなっていうのはありますね」(北海道胆振地方在住 野田瞳さん)
亡くなった父親ともう1度話したいという、胆振地方に住む野田瞳さん。30年前の11月8日、父親は自ら命を絶ちました。
手元に残っている父親との最後の写真。小学校の時、一緒に出場したマラソン大会です。
「ツーショットはこれが最後ですね。親子マラソンが小学生しか走れないので一緒に。6年生の時、最後に記念だからお父さんと一緒に走ろうか」(野田さん)
思春期になり父親と話すことも減りました。そうした中、高校1年生で経験した父親との突然の別れ。もう一度会えたら伝えたい気持ち。お父さんが大好きでした。
「まずは謝りたいですね、父に。謝って、もうちょっとコミュニケーションをちゃんと取りたかったなっていうのはありますね」(野田さん)
映画『本心』の主人公の母親も自ら死を選び突然、この世を去ります。
遺された主人公は母親の本心を知りたいとAIを使い蘇らせます。映画のAI監修を担当した清田純さんはAIで亡くなった人を復活させる技術について実用化が近づいていると話します。
Q映画の世界観みたいなのは、何年後くらいにくる?
「きょうの時点での予測では、5年以内ですね。多分半年後に聞かれたら多分もっと近づいていると思います。(技術の)進む速度が我々専門家の予測も超えてきているんですよね」(映画『本心』AI監修 清田純さん)
一方で、急速に進化する生成AIについてルールが必要だと感じています。
「速すぎる進展で人類に悲しいことが起こらないことを本当に去年と今年はみんなで話し合ってるんで。具体的にどういう策がでてくるかは今後1年くらいで色々出てくると思いますけど」(清田さん)
映画では、亡くなった母親の本心を探る主人公が、大切な人に自分の本音を伝えるかどうか葛藤する姿も描かれています。石井裕也監督はAIが進化する中でも変わらない、「人間のこころ」の価値についても考えてほしいといいます。
「本音を言えないということ、本心を言えないし、言いたくないし、潜ませようとする。それが人間の心で。それをAIにしたときに記憶は失われないですからおそらく嘘もつかないし。AIがそういう意味で優れているよねってなってしまったら人間は存在する価値がなくなっていくんだろうなって」(映画『本心』石井裕也 監督)