<ススキノ首切断事件>父親の修被告が法廷に…証人尋問のやりとり詳報 “多重人格”瑠奈被告の行動を赤裸々に…「精神状態悪化を避けたかった」―母親の浩子被告2回目公判
瑠奈被告の多重人格 「暴力に支配されてたわけではない」
――修被告と浩子被告は支配されている、奴隷のように扱われているというのが検察の主張。
「娘の心がこれ以上壊れないようにするためにはどう接すればいいのか考えながら行動していたので、決して無理強いされたとか暴力に支配されたということではない」
――逮捕された時、家は足の踏み場がなかった。いつからか。
「10年ぐらいかけて、徐々にここ数年のうちに強まった」
――瑠奈被告が自称している人格のシンシアやルル、「田村瑠奈は死んだ」と言い始めたのはいつか。
「いつごろはじまったか分からないが、10年ぐらい前から娘に『るな』と呼びかけると『その子は死んだ』『その名前で呼ばないで』と言うように。気分が落ち込んでいるときになるのかなと思ってたけどそうじゃない、瑠奈のほうから『瑠奈という魂はいなくて、シンシアだ』と言い出した。その後シンシア以外にも複数の人格がいるという説明を受けた。
基本は『シンシア』。娘は魂という言い方。『瑠奈という死んだ人の肉体にシンシアという魂が借りているわけだ。それが10年以上続いている』と。つい『るな』と呼んでしまうとニコニコしていても一変して『るなと呼ばないで』となる」
――興奮したときの音声データを録音していたのはなぜか。
「興奮したとき、どういうやりとりをすれば収まるのかなと確認のため。その後、病院を受診したときの情報の一つとしてとるようになった」
――シンシアは瑠奈の姉か。
「瑠奈が妹でシンシアはお姉ちゃん。血縁関係ではなく年上の人というニュアンス」
ゾンビの妄想に自傷で注意できず…虚空の彼氏との挙式をリビングで
――修被告と浩子被告は親としてふるまえなくなったのか。
「瑠奈と呼べないことで通常の親としてふるまうことが相当難しくなった」
――甘やかしていたといわれている。
「ゾンビ妄想が出る前まではしつけ、いうべきことは言ってきたつもり」
――注意できなくなった理由は。
「自傷やオーバードーズ(薬の過剰摂取)を繰り返すようになり『早く迎えが来てほしい』と言うようになった。本人の精神状態が追い詰められると、とりかえしのつかないことになるのではと思い、追い詰めないことが望ましいと判断した」
――彼氏のジェフは瑠奈被告に見えているのか。
「見えているときもあるし、存在を感じているときもある」
――シンシアは彼氏の存在をどのように見ているのか。
「虚空」
――結婚や披露宴とはどういうことか。
「ジェフからプロポーズ受けて挙式をあげると娘からこうしてと相談された。リビングにカーペットをしき、お香をたいたり、音を鳴らしたり列席していた」
――瑠奈被告は公共交通機関を使えないのか。
「今は使えない」
――いつから?
「フリースクールに行けなくなって閉じこもったころから。世間に出るのが怖くなった。近所のコンビニにも一人でいけない」
――瑠奈被告はLINEはできるのか。
「瑠奈が持っているスマホはiPhone6 plusでお気に入りの画像でほとんど容量なく、LINEはインストールしていない」
――瑠奈被告が興奮状態になったとき、断るのは難しいのか
「けっこう断ってると思う。本人の興奮を鎮めるために分かりましたと言っても、だからといって言われたとおりにしているわけではない」
――瑠奈被告にどうして殺したんだ、首を切断したんだと聞かなかったのか。
「想定していなかったので言葉を失った」