「目標は自立と幸せな家庭を築くこと」2度の児相保護…"虐待サバイバー" 施設からの巣立ち 退所後も支える経済困窮や孤立防ぐ取り組み
子どものころに虐待を受けた虐待サバイバー。
施設や里親の元で暮らしていた子どもたちも自立の日を迎えます。
若者たちを支える取り組みを取材しました。
美しい海が望める釧路市のホテル。
このホテルで清掃の仕事をしているのが、笹谷風輝さん21歳です。
「シワをちゃんと伸ばさないと。自分が作った部屋が、そのままお客さんが入る部屋になるので、きれいにするのは意識しています」（笹谷風輝さん）
何度も練習を重ねて作れるようになった、シワのないベッド。
上司からの評価も高い期待の若者です。
「地道な努力を毎日続けていて、かなり成長してテキパキ動けている状態ですね」（笹谷さんの上司 松永知也さん）
笹谷さんは苫小牧市で生まれ、母親のもと、姉と育ちました。小学4年生のとき、母親から暴力を受け、児童相談所に保護されました。
「暴力を振るわれて、あざすごくて、児童相談所に入りました。背中やお腹を叩かれていました」（笹谷さん）
その後、家に戻りましたが、母親の不在が長かったり、食事がなかったりするなどネグレクト状態が続きました。
高校2年生のときに、再び児童相談所に保護されました。その時の母親の言葉がその後も心から離れません。
「児相に入った時、（母から）『バカだから働けない』と言われたのは、ずっと覚えてはいます。『苫小牧にも実家にも帰ってくるな』と」（笹谷さん）
家に戻ることはできず、児童相談所の一時保護所を経て、釧路市の自立援助ホーム、KCカルムで暮らすことになりました。ホーム長の本間征二さんは当時のことをよく覚えています。
「自分が受けてきた暴力を周りの人にする。それが普通だと思っていたので、そういう解決の仕方ではないというのを教えていくのが、最初の段階で大変だったのかなと」（KCカルム ホーム長 本間 征二さん）
