大人になって終わりじゃない…虐待サバイバー"後遺症"の現実と治療の現場を取材 不調の理由を探ると子ども期の過酷な体験が
大人になって終わりじゃない。
子どものころ虐待を受けた、虐待サバイバー。
深刻な後遺症の実態と治療の現場を取材しました。
帯広市の住宅街にある小さな病院、十勝むつみのクリニック。
院長で精神科医の長沼睦雄さんのもとに毎日多くの患者が訪れます。
「まず、人を助ける前に自分を助けなきゃいけないんですよ」(十勝むつみのクリニック 長沼 睦雄院長)
「はい」(患者)
不眠や対人関係の不安…。
長沼さんは幼少期からの人生に焦点を当てて聞き取ります。
「親とどういう距離感でいるんですか」(長沼 院長)
「言われるがまま」(患者)
「今でも?」(長沼 院長)
「今でも。反抗はできないです」(患者)
不調の背景を探ると子ども時代の複雑な家庭環境にたどり着くことがあります。
5年前から一部の患者に受けてもらっている調査があります。
ACE(エース)=逆境的小児期体験。
子どもの頃に体験する虐待やネグレクトのほか、依存症のある親との生活について聞きます。
このスコアが高いほど成人後の心身の健康に悪影響を及ぼします。
「背景に厳しい育ちが多いのは間違いないです」(長沼 院長)
子ども時代の体験がもたらす、深刻な影響です。
「包丁を使うときは刃は絶対に外側に向ける。刃物で自分が切られるんじゃないかという気持ちがあって、それが怖いんですよね」(梢恵さん)