ヒグマに立ち向かうハンターの世界に異変…北海道で狩猟免許取得をめざす若者が増加…しかし”熊撃ち”になるには険しい道のりが「5年10年は経験を積む必要」
■目指すは「熊撃ち」…ハンターになったことで分かったこと
ハンター歴5年の道上綾子さん(33)は、農業被害の対策として発足した「ボランティア駆除隊」に所属しています。
普段はテレビカメラマンの仕事をこなしながら、早朝から「駆除隊」の活動にも参加。
足跡の見分け方や、わなを仕掛けるポイントなどについて、経験豊富な先輩ハンターからひとつひとつ地道に学んでいきます。
いずれは「札幌市ヒグマ防除隊」に入りたいという道上さん。
自らシカ猟を経験したことで、命の大切さに気づき、いかに食べ物を無駄にしないかを日々考えるようになったといいます。
■危険と隣り合わせのハンター…ヒグマと対峙するにはかなりの経験が必要
北海道猟友会札幌支部の奥田邦博支部長は、ハンター志望者の増加を歓迎しつつも、実際にクマやシカを駆除するためには、かなりの"経験"が必要だと強調します。
奥田支部長によると、ヒグマの場合、3発銃弾を撃ちこまれてもハンターに向かってくることもあるとのこと。5年、10年の経験を積んで十分にスキルアップしないと命の危険があると警告します。
またエゾシカも、オスの場合はツノで向かってくることもあり、刺されると大けがをする恐れがあるとのこと。
試験を受けてすぐハンターになれるというわけではなく、一人前の狩猟者になるには、長い時間と経験が必要なのです。
■ハンターの活動を後押しする動きも…ジビエ肉の工場新設
そんななか、釧路市でハンターの活動を後押しする新たな動きがありました。
東京の食肉会社が北海道最大級となるシカ肉工場を建設。2024年12月に稼働予定で、年間5000頭を加工し販売する予定です。
2022年のエゾシカによる被害総額は、約48億4600万円。エゾシカの推定生息数は約72万頭で、そのうち約14万頭を捕獲しています。
道としては生息数を半分の35万頭まで減らすことを目標に、今後捕獲数を増やす方針ですが、捕獲後のシカ肉処理が大きな課題となっていました。
新たに衛生管理を強化した大きな工場が完成することで、首都圏などに高品質なジビエ肉が供給できることになり、シカ猟を後押しすることにもつながりそうです。