都市部でも警戒“内水氾濫”への備えとは 「下水道や水路の排水能力が追いつかずに水害」 危険地域のハザードマップで避難所だけではなく避難経路も確認を
北海道で増えている局地的な大雨。
わずかな時間で水害が発生する「内水氾濫」への対策が呼びかけられています。
一体どう備えればいいのでしょうか。
北海道各地で極地的な大雨に見舞われた10月5日。
釧路では瞬く間に道路が冠水。
普段あまり水害のない場所で被害が相次ぎました。
こうした近くに川がないにも関わらず、突如として水害が発生する現象を「内水氾濫」といいます。
これに市民は。
「気候は変わっています。ゲリラ豪雨があったときは冠水がすごくて、車が何台も浸水してエンジンに水が入り、ダメになった経験はみんなありますね」(釧路のタクシー運転手)
「異常気象のせいでしょうか。(強い雨で)傘がさせない。そういう苦労があります」(釧路市民)
突如として日常生活に影響を及ぼす内水氾濫。
専門家にその発生のメカニズムを聞きました。
「(Q:内水氾濫とは?)雨を処理するのには川と下水道がありますけど、(排水の)キャパを超えて溢れてしまう」(北見工業大学社会環境系 渡邊康玄 教授)
下水道の排水能力は、通常であれば1時間あたり30ミリから50ミリの雨を処理できます。
しかし、1時間あたり100ミリ近い局地的な大雨は処理しきれません。
このように想定以上の雨で下水道や水路の排水能力が追いつかずに、水が溢れ出すのが内水氾濫です。
特に宅地整備や道路の舗装が進む都市部でも雨水が浸透する地面が減り発生しやすいといいます。
「最近の気候変動では降るときには降る。降らないときには降らないという極端現象が顕在化しています」(渡邊教授)
北海道で大きな氾濫といえば2016年の台風10号の影響で、十勝地方や上川地方などで大規模な水害が発生。
記録的な大雨で、増水した川の水があふれ家や車、農地を飲み込みました。
この水害が外水氾濫とよばれるもので、これまで川の近くに住む人は自治体のハザードマップなど活用して備えてきました。
一方、内水氾濫にはどう備えたらいいのでしょうか。札幌市の担当者に聞きました。
「避難所の場所だけではなく避難経路の確認が大事になってくるので、大雨への備えや浸水時の行動に(ハザードマップを)活用してもらいたい」(札幌市下水道計画課 星野樹哉 課長)
札幌市では、2022年から内水氾濫についても浸水危険地域をハザードマップとして公表しています。