「愛するから、撃つ」動物好きの27歳ハンターが引く命の境界線、クマ駆除への苦悩と挑戦
「境界線」を引く、命の循環
高崎さんは、ただ駆除を繰り返すだけでは、未来はないと確信している。
2025年3月、彼はクマの捕獲技術講習などを行う会社「GOE-MON(ゴエモン)」を設立した。
同年11月の初回講座には39人のハンターが参加。
高崎さんは春グマ駆除に新人ハンターを同行させ、適切な道具の大切さや、地形によって変わる歩き方を指導するなど後進の育成にも余念がない。
春グマ駆除が終わりに近づいた5月中旬、高崎さんは、ようやく1頭を捕獲した。しかし安堵はない。
根本的な解決に向けて、「人とクマが暮らす境界線を、もっと明確に引くべき」と改めて強く感じていた。
目指すのはヒグマと人間が、それぞれの領域で安全に暮らすための住み分けだ。
住み分けを進める上で、高崎さんが問題視するのが、一部のハンターが狩猟で撃ったエゾシカの死骸を放置するケースだ。
クマを人里へと誘い込む悪循環を生みだすからだ。
高崎さんは捕獲したシカをジビエとして活用する食肉加工処理施設に搬入し、命を無駄にしない持続可能な活動にも力を注ぐ。
効果は徐々に表れている。
高崎さんが入る山では仕留めたシカの搬出を徹底することで、ヒグマとの遭遇が減ってきていると実感する。
「銃声がした後にハンターがシカ討ちしたって学習して寄ってくるクマは、このあたりにはいない。それはシカを撃ってそのままにしている地域特有のこと」(高崎さん)
高崎さんが目指すのは、ただ駆除することだけではない。ヒグマを人里へと誘い込む原因を物理的に断つことだ。
野生動物の駆除と活用を両立させ、人とヒグマの距離を管理し続ける社会を目指す。
愛するから、撃つ――。命の境界線を引くために奮闘する若きハンターの姿は、人と野生動物の共生のあり方を問い続けている。
※この記事は、北海道ニュースUHBとYahoo!ニュース・LINE NEWSによる共同連携企画です。
編集後記
高崎さんの取材を通じて、野生動物と向き合う責任の重さを考えさせられた。
全国でクマ被害が後を絶たない中、高崎さんの「野生動物は隣人であって友人ではない」という言葉が強く印象に残っている。
人と自然の共生には、適切な距離感を保つ努力が欠かせない。同時に、担い手不足や技術継承も大きな課題だ。
培った経験を、次世代へとつなぐ重要性を強く感じる。
人と野生動物が共生できる地域社会のあり方について、これからも現場に足を運びながら取材を続けていきたい。

















