「愛するから、撃つ」動物好きの27歳ハンターが引く命の境界線、クマ駆除への苦悩と挑戦
野生動物は“隣人”友人ではない
高崎さんは20歳の時に狩猟免許を取得。
卒業後は三笠市の地域おこし協力隊として鳥獣対策に取り組み、2025年4月からは北海道猟友会三笠支部の支部長を務めるまでになった。
動物を愛する心は、今も変わらない。
しかし、ハンターとなり「愛情の向け方」は大きく変わった。
動物が好きだからこそ、人里に出てきて起きる悲劇を止めたいという思いが募る。
「野生動物は隣人であって友人ではない。だからこそ、適切な距離を保つことが共生のために最も重要」(高崎さん)
かつて動物と「話したい」と願った青年は、今、銃を手に人とヒグマの間に決して越えられない線を引くという使命と向き合う。
野生動物に押された「境界線」
「人間との境界線は、野生動物によって押されてきている」と高崎さんは危惧する。
高崎さんが懸念を抱くのは、ヒグマの生息数だ。
1966年に始まった「春グマ駆除」で生息数は減少。「保護すべき」という声が高まり、1990年に「春グマ駆除」は廃止となる。
しかし1991年に5500頭だった頭数は、その後の30年余りの間に1万2300頭(2024年末)と倍増。
「保護重視」の政策が皮肉にもヒグマの個体数を激増させ、人間との衝突を招く結果となった。
33年の時を経て2023年、春グマ駆除が「切り札」として復活したが、捕獲数はわずか20頭前後にとどまっている。
自治体の実施意向数は増え対策への熱意は高まっているものの、現実は厳しい。
なぜ捕獲数が上がらないのか――。
ヒグマの生態に詳しい北海道酪農学園大学の佐藤喜和教授は、雪解けが早まったことを要因の一つに挙げる。
「これまではゴールデンウィークまで山を歩けば雪があったのに、もう今は4月の上旬ぐらいだと雪が消えていきますね。そうすると、これまで追えていた足跡は追えなくなっている。捕獲が可能な時期が短くなっている」(佐藤教授)
雪上でクマの痕跡を追うという従来の捕獲手法が困難になったことが、大きく影響しているとみられるのだ。

















