「愛するから、撃つ」動物好きの27歳ハンターが引く命の境界線、クマ駆除への苦悩と挑戦
熟練ハンターでも命の危険
さらに春グマ駆除自体が、熟練ハンターでも命の危険にさらされる過酷な任務という面がある。
実際、2026年4月には北海道島牧村でハンターが襲われる人身事故も発生するなど、制度の限界も感じさせる状況だ。
4月26日、「春グマ駆除」に参加していた69歳のハンターが、手負いのヒグマに馬乗りになられ、顔や頭に重傷を負った。
「5発6発、当たっているのに死なずに向かってきた。あんなにしぶといクマは初めて見た」(当時 現場にいたハンター)
銃を持っていても時に手練れのハンターでさえ、ヒグマに襲われる――。
現場にいた仲間の証言が、この任務がいかに命懸けであるかを物語っていた。
リビングの足跡 次は我が家か
北海道ではヒグマによる被害が後を絶たない。
北海道庁によると、2016年度から2025年度まで毎年、人身事故が起きていて負傷者数は計40人を超える。
この推移は、ヒグマの被害が『特異な出来事』から『日常のリスク』へと変貌したことを示している。
高崎さんが活動拠点とする三笠市でも同様だ。
2025年9月16日午前、市内の公営住宅でリビングの窓ガラスが割られ、体長約1.2メートルのヒグマが侵入した。
ヒグマは室内で洗濯中だった女性の目の前を通り、開いていた玄関から悠然と立ち去った。
幸い女性にケガはなかったが、地域住民に与えた衝撃は計り知れない。
「車を玄関の前に置いてすぐに乗り降りできるようにしている」「逃げるときは、包丁とか消火器を持って走るつもり」(いずれも近くに住む人)
当時、現場に出動した高崎さんはエサになるようなものがないのに、窓ガラスを割ってまで侵入したヒグマに驚きを隠せなかった。
侵入した理由は特定できなかったが、後日、高崎さんによって駆除された。
ヒグマは山にいる存在ではなく、すぐ隣まで来ている。
高崎さんが守る地域の安全は、緊迫した状況に置かれていた。

















