【ヒグマと北海道】「駆除は生活守るため必要」羅臼岳死亡事故で苦情相次ぐなか鈴木知事が訴え―自治体等と連携し注意喚起や入山規制の方法見直しも―7月のクマ目撃は過去最多700件超「例年とは異なる」と危機感
鈴木直道知事は8月22日の定例会見で、羅臼岳で起きたクマによる死亡事故など、北海道内で相次ぐクマの出没への対応について、今後の取り組みや方針などを説明しました。
今回の人身事故を踏まえ道は、有識者と協議し再発防止策を検討します。登山者の行動(単独行動・走って下山)などがリスクを高めたのではとの指摘については、一律の規制は困難としながらも注意喚起を徹底していくとしました。
また登山道周辺でクマの目撃などが相次いだ場合の注意報・警報の出し方や入山規制については、自治体と協議しながら、見直すべきものがあれば対応していきたいとしました。
一方、羅臼岳での駆除をめぐって電話メールなど合わせて、道の対策室に160件以上、斜里町には100件以上の苦情や意見が寄せられていることを明かし、役所が対応に時間が割かれ、業務に支障をきたしているとしました。
駆除したことについては、人々の生活を守るために必要な行為であり、ハンターの方々は自らの危険を顧みず捕獲に従事しているとしたうえで、電話をする前に、まずは状況を冷静に理解するよう呼び掛けました。
一部の観光客による餌やりや、写真撮影など過度な接近が問題視されていることについては、自然公園法でこうした行為は禁止されているとしたうえで、鈴・スプレーの携帯や、集団行動、ゆっくりとした下山など、基本的な行動を心掛けるよう呼び掛けました。
羅臼岳でなく、道内ではクマの出没が相次いでいます。7月のクマの目撃件数は、過去5年で最多となった2023年の534件を上回り、700件ほどまで増えています。こうした状況に知事は「クマの出没傾向が例年とは異なっている」との見解を示しました。
道は現在5か所に出している「ヒグマ注意報」のうち、上ノ国町の期限(22日まで)を1カ月延長することを決めました。
また例年9月1日からスタートしている「秋のヒグマ注意特別期間」を初めて前倒し、8月22日から10月31日までとすることを決めました。
9月1日から、自治体の判断で発砲が可能となる「緊急銃猟」については、訓練を行うなどして市町村、警察との連携を強化するとしたうえで、猟友会から上がっている『ボランティア活動におけるハンターの身分保障(事故などで猟銃許可が取り消されるなどの恐れ)』については、知事としても必要性を認識しており、猟友会と共に国に対応を要望していくなかで速やかな回答を得ていきたいとしました。
今後はヒグマ出没への対応に苦慮している市町村には、道の方から「ヒグマ専門人材バンク」に登録押している専門人材を派遣をし、電気柵、自動撮影カメラの貸し出しなどの支援も行うことも表明しました。