【ノースサファリ】行き場を失った動物たち…札幌市円山動物園に引き取りを求める意見も…担当者は「安易に受け入れることはできない」さまざまなハードルが…ライオンの餌代年間35万円
札幌市内の動物園への移動は可能か?
札幌市円山動物園ではオスとメスのライオン2頭を、冬は屋内の2つの部屋で飼育しています。
広さは合わせて約80平方メートル。
ここで新たなライオンを飼育することができるのでしょうか?
「われわれの施設はこれが限界だと思っている。他の個体を入れるとなると、闘争を起こしてしまう危険性がある。仮に依頼があっても、受け入れは難しいと答えざるを得ないと思う」(前野課長)
ライオンは群れを作る動物で、ひとつの群れにオスは原則1頭です。
同じ空間で2頭を飼育するとストレスがかかり、傷つけ合ってしまうのです。
ライオン1頭の餌代は“年間35万円”―費用への懸念
さらに、こんな懸念も。
「一般的に動物を入れる場合、動物園同士で個体の情報のやり取りをする。例えば病気の状態や健康の状態など」(前野課長)
好みの餌や飼育の仕方など細かい情報をやり取りして、数年単位で調整するのが一般的だといいます。
そのような情報がないと…。
「感染症などの病気を持っている可能性が非常に高いので、健康状態をチェックしてから入れることになる。そうしなければ、われわれが飼育している動物たちに健康上の影響が出てしまうことになる」(前野課長)
飼育のための費用も問題です。
オスのライオン1頭の餌代は年間35万円。
動物園全体の144種類606匹では、年間約6600万円かかります。
ライオンの飼育員は主に2人ですが1頭増えれば増員が必要で、その費用もかかります。
「動物を飼う以上、最後まで面倒をみるということが必要」
ライオン以外の動物でも…。
「かわいい顔で泳ぐアザラシ。水に住む動物ならではの課題があるということです」(関根 弘貴 記者)
札幌市円山動物園では4頭のアザラシを飼育しています。
仮に1頭増えるとなると、こんな問題が。
「水が汚れやすくなるので、病気や皮膚炎を引き起こす可能性が出てくる。水をきれいにする『ろ過装置』は今の飼育頭数で限界。現在飼育している動物に影響が出てしまうので、受け入れられないということになってしまう」(前野課長)
このように、他の施設が動物を引き取るにはかなり高いハードルが存在するのです。
「同じ動物を私たちも扱っているのでわかるところもあるが、動物を飼う以上最後まで面倒をみるということが必要。その責任を果たせないということになる」(前野課長)
「ノースサファリサッポロ」の閉園まで、あと半年あまり。
飼育されている動物たちの行方は一体どうなるのでしょうか。