「ご近所さんはいなくなった」富良野市で増える外国人…トラブルもあとを絶たず“オーバーツーリズム”におびえる住民
北海道の中央に位置し、「へそ」と呼ばれてきた富良野市にインバウンド(訪日外国人)が押し寄せている。「第2のニセコ」と目され、スキーヤーやスノーボーダーがパウダースノーを求め殺到。海外資本の投資も入り、世界の富裕層たちが熱視線を送る。
【写真で見る】北海道各地でトラブル…“迷惑外国人”も出現―雪まつり会場スタッフに“雪玉攻撃”する様子配信
ただ、外国人の増加とともに住民とのトラブルも急増。土地価格の急上昇やマチの変化についていけず転居する人やオーバーツーリズム(観光公害)におびえる農家も。インバウンドがもたらす光と影は――。
6800万円の物件「値段的にもいい」投資家は好感触
1月14日、高級ミニバンから降り立った女性が富良野市東鳥沼の売り家を品定めしていた。彼女は韓国の財閥系投資家で、家族で過ごすための別荘がお目当て。民泊への転用も念頭に置く。
「ここは窓が大きくて景色がいいからリビングとしていい」。アテンドする小樽市の不動産会社「日本信達」の社長、石井秀幸さんに好感触を伝えた。
二世帯住宅をリフォームした物件で、800平方メートルを超える土地付きの2階建て7LDK。富良野市北の峰地区のスキー場まで10キロ、富良野駅まで8キロの場所に位置する。価格は6800万円。2人の間で生々しいやりとりが続く。
「民泊も可能だし値段的にもいい。もう少し安くならないか」(韓国の投資家)
「為替や支払い方法の問題もあるのでいろいろ考える」(石井さん)
韓国の投資家はこの日、富良野市内の2つの物件を内覧。どちらがいいか悩みながら、帰路についた。
土地価格は5倍に ニセコ超えのポテンシャル
富良野市に宿泊する外国人は年間で延べ25万人。10年前の4.2倍に上り、コロナ前の4年前と比べても1.7倍となった。
スキー場のふもとに位置する富良野市の北の峰地区。ニセコエリアと同様に海外資本が参入し、コンドミニアムなど宿泊建設が続いている。去年3月に公表された地価公示で住宅地の上昇率が全国トップになった。
土地の価格は5年で5倍ほど上昇。中には1坪250万円の土地や1億円を超える物件も出てきているという。