コメ“品薄感”北海道にもジワリ 米穀店や弁当店に影響広がる…去年の夏の猛暑による不作が原因 コロナ禍からインバウンド回復で外食産業の需要も増加
北海道釧路市のコメの専門店「こめしん」では1俵約60kg入りのコメを、年間約3万俵取り扱っていますが、最近問い合わせが増えているといいます。
「スーパーの値上がりを見て当店に来たり、病院で給食事業をしている会社が『もともとの仕入れ先がコメを供給できない。何とか仕入れられないか』という問い合わせが今年は多いと感じる」(こめしん 徳山 大介 社長)
コメの仕入れ状況はどうなっているのでしょうか?
「新米の時期に1年分を仕入れ、不足があれば買い足しているが、今年は買い足そうとしても売り物のコメが全然出てこない。取り引きできるコメの価格が手が出せない金額になり、仕入れられない」(こめしん 徳山 大介 社長)
札幌市豊平区で弁当の製造販売を行っている「Harapeco」では、多いときは1日1000食の注文があり、月に6トンのコメを仕入れているといいます。
「会社で仕入れているコメは、15%ほど去年と比べて価格が上がっている」(Harapeco 中村 忠昭 社長)
価格の上昇も問題ですが、さらに頭を悩ませているのが必要な数量の確保です。
現在、こちらでは3社の米穀店と契約しています。
「念のため他にも2~3社にコメの仕入れを打診したが『いま契約している会社の分を優先的に確保』と、厳しい状況で卸してくれない。商品を出したくても出せない状況が一番怖いので、できるだけコメを炊きすぎず、食品ロスがでないようにやっている」(Harapeco 中村 忠昭 社長)
農林水産省によりますと、6月末のコメの民間在庫量は177万トンで、前の年の同じ時期に比べ20万トン少ない見込みです。
180万トンを下回るのは、2008年の161万トン以来となります。
この年は、世界的な穀物不足に見舞われました。適正水準は200万トン程度とされています。
今回のコメの品薄の背景は、2023年の夏の不作の影響だけではないようです。