1LDKベランダ育ちの微生物 地球救う? 生ごみ処理でスタートアップ…「komham」西山すのさん #BOSSTALK
外から見ると"ごみ屋敷" 創業当初のラボは札幌の1LDKのベランダ
――商品化するまでの道のり…苦悩や困難は?
大変でした。第一に、”研究者”に会ったことがなかったので、研究者探しから始めました。運よく研究者に出会えたが、次は研究をするための場所がない。初めは、札幌市内の1LDKマンションのベランダに電気毛布で微生物を温めて、人間は極寒の中で作業をしていました。
"ベランダラボ"。外から見るとゴミ屋敷のようで、通報されるのではないかというヒヤヒヤとともに最初の1年間は過ごしていました。
実証実験経て夏から販売開始…"子ども"送り出す気持ち
――どのようなビジネスを行っているのか?
2023年夏から販売開始予定のソーラーパネルの電力で自動駆動する「スマートコンポスト」を作っています。AC電源を必要としないソーラー発電なので、環境負荷を限りなく少なくゴミ処理が可能に。
どれくらい環境負荷を抑えられたか定量で見ていただきたい。生ごみがどれくらい入ったか、温室効果ガスがどれくらい抑えられたかを観測できる箱です。
――実際に導入した企業や自治体は?
まだ販売開始前なので、実証実験ですが、自治体や企業に導入しています。
東京の渋谷区では、町の中にスマートコンポストを配置し、どのような問題が起きるかを実際に試しました。また、札幌市内では2022年10月に開催されたイベント内でスマートコンポストを設置。イベント内で排出される生ゴミを処理する実証実験を行いました。
商品化はうれしいです、もちろん。独立する子どもを送り出すような気持ちに近いですかね。創業から3年経つが、komhamのことばかり考え、komhamが1番の生活です。相当お金もかけてきたkomhamが、ちゃんと働いてくれるんだろうか。働いてくれるだろうという確信を持ちつつも、「がんばって、いってらっしゃい」みたいな気持ちですね。
――どのような反応があると「やっていてよかった」と感じる?
分かりやすい反応はなくていいと思っています。環境に関する取り組みは、参入のハードルが高いものがほとんど。みんな気づかないうちに、日常生活の中に技術が使われ、いつの間にか環境負荷を抑えられるインフラが作れればいいなと思っています。気づかれず、ヌルッとやりたいです。