【ろう者の両親を持つ「CODA」】「知的な障害が起きてるの?」心ない言葉に傷つき…CODAが語る偏見と葛藤「楽のために通訳してるわけじゃない」社会との「橋渡し役」の現実と手話が繋ぐ未来
小学校低学年のころ、役場から届いた文書を利恵子さんが理解できず、職員に説明を求めると…
「『ぼく、ぼく、ぼく、お母さんは聞こえないだけじゃなくて、知的な障害が起きてるの?』って言われたことあったんですよ。で、もうその時すごいショックで、『え?』って。なんか、差別とか偏見っていうのはすごく感じて」(伊藤さん)
子どもながらに、ショックな出来事でした。
日本手話を使うろう者が、文字の読み書きを困難に感じることがあることが、十分に理解されていなかったのです。
一般の子どもは感じることのない理解不足や偏見にさらされながら、小さいころから、いや応なしに手話と関わってきた伊藤さん。
その感情が限界に達した出来事がありました。
利恵子さんが普段はファックスでやり取りをしている相手に電話をかけてほしいと頼まれました。
「ファックスしたらいいって言ったら『いやいや、あんたに頼んだ方が』と。こういう手話を使ってますね(意味は)楽とかって、楽って言われたんで、『楽のために俺は手話通訳してるわけじゃないし』っていうことで、こう、うっぷん溜まってたのがバンって爆発して…」(伊藤さん)
「楽をしたいから」
この一言で我慢しながら続けてきた気持ちが切れてしまったのです。
手話や、ろうの世界から一旦、離れることになりました。
このあと20年に渡って、手話や、ろうとの関わりを避けてきた伊藤さんですが、実家に訪れるろう者との交流がきっかけで、考えが変わり始めました。
「私は親のために手話通訳をやってるわけじゃなくて、私を小さい時から可愛がってくれた、亡くなった聞こえない人たちとか、今いる聞こえない人たちのおかげで、その人たちのために手話通訳をやろうって思ってる。親孝行のために手話通訳やろうと思ってたら、多分やらない」(伊藤さん)
『橋渡し役』に復帰した伊藤さんは、北海道ろうあ連盟に所属し、以前にも増して、ろう者との関わりを深めてきました。
自分たちには何ができるのか、日々、仲間たちと意見を出し合っています。


















