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【月10ドラマ】北川景子と大森南朋に託した“本音の演技” 「芝居をいかに止めずにドキュメンタリーのように撮るか」―松木創監督が語る演出へのこだわり―『あなたを奪ったその日から』舞台裏(後編)

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撮影現場での松木創監督

撮影現場での松木創監督

 もう1つ、これは全体的なテーマで、お互いに多分同じ意見を持ち合ったような感じがしますが、これから結構日常的なシーンも増えます。犯罪とはかけ離れている家族モノみたいシーンが出てきますが、北川さんとは『常に主人公は大きな罪を犯しているということを忘れずに、罪を背負いながら生きているということが根底にありながら、日常も描いていきましょう』という話をしました。


 紘海さん(北川景子)という主人公は、ダイレクトに罪を犯しているからそうですが、どんな人も何かしらどこかで嘘ついたり、誰かを傷つけたりというのはみんなが持っていることだろうから、罪の意識を持って生きているっていうことには何か普遍性があるのではということも考えながら、テーマとしては話し合った記憶があります。だから北川さんもそういう意識でおそらくやられていると思います」

大森南朋の“冷たさ”が視聴者の共感と違和感を生み出す

――大森南朋さんについて。どのような存在感を期待して演出されたのでしょうか


 「このドラマは主人公が誘拐してしまうので悪いわけです。いくら自分の子が殺されたとはいえやってはいけないこと。でもそれにある程度共感してもらうためには大森さんの役が、一見冷たいというか、そこに“いいお父さん”で終始してしまうと、紘海さんの方が悪くなって共感できなくなるので、大森さんの方を“少し冷たい”、“何を考えているかわからない”、“愛情があるのかどうかわからない”みたいなキャラクター造形にすべきということでこの脚本はできています。

 でもそれをやりすぎると、「子供の親なのに、そんなことしない」ということになりかねない。そこをうまく演じてもらいたいと思っていましたが、さすが大森さんはすごく上手にやっていくので、今はすごく冷たく見えるけどそれがどんどん変わっていくということがスムーズに、リアリティを損ねずにやってくれている感じがします。

 視聴者の感想を見ると、“ひどいお父さん”と言っている人が多くて、そういう意味ではすごく成功しています。ただ3歳の子の父親であることも含めて、リアリティを損ねてない中で、現実にいそうな範囲でそういうギリギリのラインを攻めてもらいたいなと思っていて、そこは相談して、さすがにうまくやってくださっています。

 大森さんは格好いいので、格好よく良く見えすぎると難しいと思っていましたが、“悪”みたいな部分が少しあるのではと視聴者に受け取ってもらえているので、大森さんの芝居のうまさかなっていう感じですね。

 大ベテランなので、どこまで本当にこちらのお願いを聞いてくれるのかとドキドキするわけです。でもすごく軽く「できます、できます」と言ってくれて、こういう難しいシーンも技術でやってくれます。

 格好いいけど冷たさも持ち合わせる大森さんは本当にいいキャスティングだったと思っています。北川さんも『大森さんしかこの役できませんでした。わたし大森さんじゃなかったらできてなかったかもしれない』と言っていました」


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