【泊原発3号機が事実上の合格】原子力規制委の審査開始から11年以上…「断層や津波の評価ができた」2027年早期の再稼働目指す北電_今後必要な“地元同意”に知事「予断を持って申し上げられない」北海道
東京で4月30日に開かれた原子力規制委員会で、北海道電力・泊原発3号機の安全対策に関する「審査書案」が了承されました。
11年以上続いた安全審査に事実上、合格の判断です。
「敷地内外の断層や津波の評価がきっちりできたことが、審査が前進した理由」(山中伸介原子力規制委員会委員長)
北海道泊村にある、北電の泊原発。1989年に1号機が運転を開始して以降、1991年に2号機、そして2009年に3号機が稼働。
この3基で北海道内の電気供給量の4割を担っていました。
しかし2011年3月、東日本大震災で東京電力・福島第一原発事故が発生し全国すべての原発が停止。
泊原発も2012年5月までに3基すべてが運転を停止しました。
2013年、北電は再稼働に向け、原子力規制委員会に安全審査を申請しましたが、近くの海底や敷地内に活断層がある可能性など次々と課題が浮上。
北電は断層が活断層ではないことや地震の揺れの想定を見直し、津波対策の防潮堤の増強などをして、11年以上かけて審査合格へこぎつけました。
「(事実上の審査合格まで)非常に長い時間がかかった。ここで気を緩めず将来の安定運転に向けた取り組みをしっかり対応していきたい」(斎藤晋北海道電力社長)
北電は2027年の早い時期に泊原発3号機の再稼働を目指したいとしています。
マチの人は…
「安全管理が心配になってきている。ただ今の灯油価格の値段も上がっているので、再稼働してもらった方がいいという気持ちと半々ぐらい」
「絶対に安全ということはない。心配は心配」
「自分は電気代が安くなるなら(再稼働)した方がいいのかなと思います。物価が上がってきている時代なので」(いずれも道民)
規制委とは別の国の原子力政策の委員会のメンバーでもある専門家は、今回の審査は不十分だと指摘します。
「非常に残念だと思っています。泊原発に関して地質学者がいろいろ問題があると指摘されているが、きちんと説明がないまま原子力規制委員会が認可して審査を終わらせてしまうことになる」(松久保 肇 NPO法人原子力資料情報室事務局長)
北電は2030年代前半までに泊原発の3基すべてを再稼働させ、発電量の6割から7割を原子力でまかなうとしていますが…
「泊原発にトラブルがなかったとしても、大きな地震があれば止まる。広域停電になるリスクは抱え続けることにならざるを得ない。(再稼働の同意が求められる)北海道に、きちんと見てくれと求めるしかない」(松久保事務局長)
再稼働に向け最終的にカギを握るのは知事を含めた地元の同意です。
「予断をもって申し上げる状況にないことに変わりない。今後具体的な内容が示されれば道議会の議論などを踏まえて適切に対応していきたい」(鈴木直道知事)
泊原発停止からまもなく13年。
道民の生活と安全をどう守るのか。
今後の再稼働の議論に注目です。