「同じ熱量でぶつかれる仲間がほしい」“筋肉で体重+10キロ”…強豪の北大ボート部主将が語る『日本一への思い』<札幌の春を彩るひと>
春、それは仲間集めの季節。まだ肌寒さが残る北海道大学(札幌市)の構内でも各部活やサークルが新入生獲得に活気づいている。全国で屈指の強豪となったボート部・男子主将の小方悠暉さん(21)も意気込む。「本気で全国の頂点を取る。その舟に一緒に乗ってくれる仲間がほしい」。“日本一”への思いを聞いた。(聞き手・大西亮平)
――ボート部の成績は? 日々の練習量もお聞かせください。
「去年の全国大会で男子クルーは銀メダル、女子クルーは銅メダルでした。早朝に石狩市の茨戸川で練習しています。1回の練習で20キロこぐときもあって、体力的にも精神的にも想像以上にハードです。筋肉で体重が10キロ増える部員もいます」
――そんな厳しい練習をこなすボート部にはどんな魅力があるのでしょうか?
「選手やマネージャーを含めて同じ目標を持ち、同じ熱量でぶつかり合える仲間がいます。自分の限界に挑む日々を過ごしているからこそ、自分には厳しく、仲間には思いやりや優しさを持てる人が多い。そんな人たちと一緒に成長し、なりたい自分になれるのが北大ボート部の魅力です」
――仲間がいてよかったなと感じるのは、どんな時ですか?
「自分の弱いところや至らない点を指摘してくれて、人間的に成長させてくれる時です。厳しい言葉をもらうときもありますが、これも自分に対する思いやりや期待があるからこそだと思います。どんな時も絶対に見捨てずに、自分に期待してくれる、そんな存在がいるからこそ、折れそうなときに踏ん張ることができます」
――どのような春にしていきたいですか?
「ひとりでも多く、日本一を共に目指せる仲間を集めます。そして自分にとっては今年がラストシーズン。日本一を獲るための準備期間として一日一日を積み重ねていきたいです」
春の風とともに、北海道大学ボート部は新たな仲間を迎え、再び挑戦の航路へとこぎ出す。“日本一”という目標に込めた覚悟は、水面に静かに、確かに広がっていく。ともにこぎ続ける仲間がいる限り、彼らの波紋が途切れることはない。