【函館のクセ強スイーツ】リアルすぎて食べるの勇気いる「いかようかん」と将棋ファン殺到「パイ饅頭」ロングセラー菓子の魅力「けっして刺身にしないでください」
函館には、一度見たら忘れられないインパクト抜群のスイーツがあります。その名も「いかようかん」。リアルすぎる見た目に「ちょっとグロい!?」と話題になりながらも、約28年にわたりお土産の定番として愛され続けています。しかし、意外なことに「自分では食べたことがない」という函館市民も多いちょっと変わった商品とのこと。
また2024年、思わぬ形で全国的に注目を集めたのが、発売40年以上のロングセラー「ロマネスク函館」。将棋の王位戦で藤井聡太七冠と渡辺明九段がそろって勝負おやつに選んだことで、突如大ブレイク!その舞台裏を、老舗菓子店「はこだて柳屋」の3代目・若杉充宏社長に伺いました。
まるで本物!?見た目の衝撃がクセになる「いかようかん」
「いかようかん」は1997年、本店のリニューアル記念として誕生しました。「函館といえばイカ!」という発想から、函館を代表する銘菓を目指して開発されたこのお菓子。求肥をコーヒー餡で包み、羊かん生地でいかの姿に見立てた三重構造の工芸菓子です。包装箱には「けっして刺身にしないでください」と洒落の利いた一文が添えられています。
製造には2日間かかるため、店としては「コストパフォーマンスの悪い商品」だといいます。品切れの際は追加することが出来ず「明日の水揚げをお待ちください」と掲示されます。
味はコーヒー餡のほろ苦さで甘さ控えめ。意外性のある見た目とのギャップが好評ですが、函館市民の間では「お土産には買うけど、自分では食べたことがない」という人も少なくないそうです。
「函館のイカ漁が近年不漁が続き、“市の魚の座”が危ういと言われています。でも、生のイカが手に入らない時は、せめて『いかようかん』で函館のイカ気分を味わっていただければ」と若杉社長はユーモアを交えて語ります。
将棋の王位戦で勝負おやつに選ばれた「ロマネスク函館」
2024年7月、函館で行われた将棋の王位戦第2局。この対局で、藤井聡太七冠と渡辺明九段が「勝負おやつ」として選んだのが、はこだて柳屋の「ロマネスク函館」でした。
「メニューに載るだけで十分だと思っていましたが、お二人が同時に選んだことで各メディアが一斉に報道。その30分後には本店に将棋ファンや報道陣が殺到し、店は一時騒然となりました」と振り返ります。
実は、若杉社長が持ち込んだのは、2025年5月開幕の「あさひかわ菓子博」に向けて開発したシマエナガの大福、「シマエ大福」でした。しかし、「ついでに持参した『ロマネスク函館』がメニューに採用され、大きな話題になったんです」と思わぬ展開を明かしてくれました。
パイ生地に甘さ控えめのこしあんを包んだシンプルな焼き菓子で40年以上、市民に愛され続けています。通常はしっとりとしたパイ生地の食感ですが、窯から出たての焼きたても評判となっていて、本店では毎週土曜日午前11時から数量限定で「焼きたてロマネスク」が販売され、人気を博しています。
時代とともに進化する味 函館のロングセラー菓子がゆく未来
函館の伝統と遊び心が詰まった「いかようかん」と、シンプルながら奥深い味わいの「ロマネスク函館」。どちらも長年愛され続けるロングセラーですが、これからの時代に合わせた進化も忘れません。
「お菓子の嗜好は時代とともに変わります。これからも新しいニーズに応えながら、皆さまに喜んでいただけるお菓子をお届けできるよう努力していきます」と若杉社長は抱負を述べました。
2025年は5月30日(金)から6月15日(日)まで北海道旭川市で開催される「第28回全国菓子大博覧会・北海道 あさひかわ菓子博2025」に出店する予定です。