注目される「インクルーシブ教育」重度の知的障がいと自閉症がある生徒、戸惑いながらも理解を深めていくクラスメイトの成長の記録…卒業後も続く絆―障がいで子どもを分けずともに学ぶ意義とは
ともに学ぶうちに、カズにも変化が出てきました。
1年生の時には感情を見せることが少なかったものの、年々、表情が豊かになっていきました。
修学旅行も一緒に行くことができました。
卒業間近には、普通高校進学を希望する和毅さんに、友達が面接試験の練習をかって出ました。
「趣味は何ですか?」
結果は見事、合格でした。
3年間同じクラスで過ごした、大学2年生の狩野はなさん。
教師を目指し、教育大学で"インクルーシブ教育"を学んでいます。
「カズと過ごした貴重な経験を生かし、自分が教師になって、それを広めることができたら、いい社会になると思った」(和毅さんの同級生 狩野はな さん)
狩野さんを指導する戸田竜也准教授。
インクルーシブ教育は、障がいのある子だけでなく、ヤングケアラーなど多様な背景のある子にとっても大切だといいます。
「障がいのある子を含む学校、学級というのは、結果として"誰にとっても安心する居場所"と考えている」(北海道教育大学釧路校 戸田竜也 准教授)
一方で、現場には教員の数や予算がないという課題があります。
「学校の先生や学校に半ば丸投げのような状況で進められている」(戸田 准教授)
1月12日、カズを訪ねてくれたのは…
担任だった曽我部さんです。
「成人おめでとう!」(曽我部 先生)
この日は成人を祝う集いが開かれます。
お祝いのため駆けつけた先生、久しぶりにネクタイも締めてあげます。
そして…
卒業後は別々の道に進んだカズと仲間たち。
ともに過ごした3年間のつながりは、ずっと続いています。
「静かな時に(整髪料が気になり)シャワー入ります、まだよと言ったから、面白かったです。昔に戻ったみたいで」(狩野さん)
その夜、中学の同期会が開かれました。
カズが乾杯の発声です。
「乾杯」(和毅さん)
「まてまて!」(みんな)
「乾杯~!」(和毅さん)
ともに学ぶことで、子どもたちはどう変化するのか。
20歳を迎えた若者たちの表情が教えてくれます。