ふるさと納税で地方創生 特性を再発掘して発信「Souplesse(スプレス)」加納綾さん #BOSSTALK
ふるさと納税は足がかり 信頼を得て広がる仕事
――今、力を入れている取り組みは?
ふるさと納税の仕事を引き受けた全自治体が毎年、前年の寄付額を超える―。その目標を大切にしており、(達成に向け)、毎日、一つ一つの課題に向き合い、クリアして365日を過ごしています。ふるさと納税の事務的な仕事を引き受けるだけでなく、その自治体の全体的な課題もお聞きすることも多くあります。利尻富士町では50年前まであった日本酒の酒蔵が地元でも忘れられつつあるときに、町長から(当時、その酒蔵が造っていた人気銘柄を復活させたいと)相談を受けました。自治体がやるとなると、予算を取って、(酒造メーカーに)委託して、時間がかかりますよね。その話を聞き、「私達がやります」と言って、お酒を本当に作りました。ふるさと納税の返礼品と島限定で提供しています。自治体が取り組みにくい課題に対しては、ふるさと納税という足がかりで入り、(民間のメリットを生かして)やっていく感じです。まちに入り込み、(信頼されて)仕事が広がっていきましたね
女性を積極的に受け入れ、働きやすい職場に
――従業員は何人いますか。どんな経営を心掛けていますか?
従業員は30人です。女性がとても多い会社です。自分が子育てを経験したこともあり、子育てや専業主婦はキャリアだと考えており、結婚して仕事を辞めて(一般的な意味でキャリアが中断しても)、ちゃんと受け入れ、働けるようにしたいです。
――会社には娘さんもいらっしゃいますね。
東京の大学に進学しましたが、この春、退学して取締役として働いています。家に帰って「今日のあれはそうじゃないと思う」と、社員が言えないことを、娘が冷静に端的に言ってくれるのは、とてもありがたく思っています。
札幌から、道内地域の振興に貢献できる会社に
――会社の事業とご自身の未来の話をうかがわせてください。
地方の子どもは札幌や東京に行きたくて就職や進学を選ぶ(傾向にある)と思います。札幌に出て、地元の仕事をしてほしい。生まれ育った地域の良さにあらためて気づき、札幌にいながら地元への貢献ができるのです。その仕事がうちならできます。(地方の子どもが)地元で働く雇用ではなく、別の形で働く事業を実現させるのが今の夢ですね。
――そこまで考えられるはローカルにどっぷり浸かっているからですね。
現場に行って、自治体の方、事業者の方、生産者の方と会って話をするのはすごく楽しいです。その空気感を感じながら、その土地の人間として仕事をしている、仕事をしていかなければいけないという感覚で取り組んでいます。