「繁殖させないのはかわいそう」ライオンの"避妊"を公表した動物園に批判殺到…実は”百獣の王”の飼育数は飽和状態に…ライオン避妊 決断の背景とは
■ライオンがいない動物園に新たにオスとメスがやってきた
2022年2月にオスのリッキーが死んで、しばらくライオンが不在だった札幌市の円山動物園。
2023年、新たにオスとメスのライオンがやってきました。
オスのクレイは愛媛県立とべ動物園から。メスのイトは旭山動物園からやってきました。
■「避妊」措置を発表すると…批判や疑問の声が殺到
そんななか円山動物園が11月9日に、どちらかに避妊処置を施したうえで、2頭を同居せると発表したところ、全国から疑問や反対・提案などの声が437件も寄せられました。
主にこんな声が寄せられました。
「避妊には反対です」
「繁殖させないのはかわいそう」
「2頭をもとの動物園に戻して」
■揺れる動物園…結局下した決断は「避妊」
これを受け円山動物園は急遽「一度改めて検討しなおす」と発表。
しかし結局3週間後には「予定通り避妊を施す」方針を改めて公表しました。
なぜ円山動物園は"避妊"の道を選んだのでしょうか?
決断の背景には、いくつかの理由がありました。
■「避妊」選択のワケとは? 飽和状態のライオン
実は、国内のライオンの頭数は現在、飽和状態にあります。
日本動物園水族館協会に加盟する全国の49園で、あわせて415頭のライオンが飼育されています。
サファリパークも含まれているので少し数が多いものの平均で8頭くらいになります。
■オス・メスをそろえるのは「動物福祉」のため
今回、オスとメスの2頭のライオンを迎え入れた円山動物園ですが、そもそも繁殖させることが目的ではありませんでした。
オスとメスをそろえたのは「動物福祉」の観点からだったと言います。
ライオンにとって良い環境とは”大きな群れ”でいること。しかし施設の問題もあり、そこまでの多頭飼育は難しい。
そこで選択したのが、できるだけ野生の群れに近い形、すなわち「オスとメスで飼うこと」でした。