【速報】1審「無罪判決」の北広島放火殺人事件ー検察が不服として控訴“責任能力失われていた疑い”裁判所の判断も「2人の命を奪ってるんですよ」と自ら訴え〈北海道〉
■刑事責任能力を問えないとした札幌地裁の判決…検察が判決を不服として札幌高裁に控訴
北海道北広島市で2022年、生活困窮者向け共同住宅に火をつけて2人を殺害した罪に被告の男が問われていた裁判。刑事責任能力を問えないとした札幌地裁の判決を受けて、検察が判決を不服として札幌高裁に控訴しました。
住所不定・無職の荻野正美被告(70)は2022年9月、北広島市の生活困窮者向け共同住宅に火をつけ、71歳の男性と51歳の女性のあわせて2人を殺害した現住建造物等放火と殺人の罪に問われていました。
9月2日から札幌地裁で始まった裁判員裁判の争点は荻野さんの刑事責任能力の有無でした。
■求刑は有期刑の上限となる懲役30年…判決は無罪判決
検察側は「被告のせん妄(一時的な意識障害)の影響は限定的で、意思決定の自由は残っていた」と主張。「社会として許容できるものではなく非難に値する」として有期刑の上限となる懲役30年を求刑しました。
一方の弁護側は「幻覚や妄想などの圧倒的な影響でしてはいけないことがわからず、行動を止められなかった」として無罪を主張しました。
荻野被告は9月10日の最終陳述で「このような大きな事件を起こしてしまったことを心から反省している。自分本来の気持ちに戻れなかったことが悔やまれてなりません」と涙ながらに後悔の念を語りました。
そして9月17日、札幌地裁の井戸俊一裁判長は「責任能力が失われていたとの合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡しました。
■判決直後…荻野被告は「おかしい。2人の命を奪っているんですよ」と涙を流し訴える場面も
判決直後、荻野被告は「おかしい。2人の命を奪っているんですよ」と涙を流しながら訴える場面も。
判決を受け、札幌地検は「判決内容を精査し、上級庁と協議の上、適切に対応したい」とコメントしていましたが、10月1日、判決を不服として控訴しました。