【札幌で開催中】「北海道民なら二度見?」リアルな“魔物食サンプル”に等身大のレッドドラゴン…『ダンジョン飯』九井諒子さんの魅力―展示プロデューサーが語る
札幌市で開催中の「九井諒子展 &『ダンジョン飯』迷宮探索展」。シリーズ累計発行部数1400万部(2024年3月時点)を超える大人気コミック『ダンジョン飯』の著者・九井諒子さんの貴重な原画や資料が公開されていて、連日多くのファンが詰めかけています。展示プロデューサーのKADOKAWA・平方春佳さんに見どころを聞きました。
“中華料理”専門メーカーが作った「魔物食」サンプル
会場で目を引くのが、『ダンジョン飯』の代名詞とも言える「食事」の再現です。
「『ダンジョン飯』といえば、やはり"ご飯"。今回は作中に登場する魔物料理を食品サンプルでリアルに再現しました」(平方さん)
平方さんが紹介してくれたのは、「マンドレイクとバジリスクのオムレツ」。 ふんわりとした卵の質感は食欲をそそりますが、皿の脇には叫び出しそうな顔をしたマンドレイクが添えられています。
「これ、実は普段『中華料理』などの食品サンプルをつくる専門のメーカーさんにお願いしたんです」(平方さん)
“未収録の生原稿”「上手なことがわかる」
数ある展示物の中でも、平方さんが「一番の目玉」と語るのが、ガラスケースに厳重に展示された3枚のモノクロ原稿です。「この3枚だけ、どうにか交渉してお貸し出しいただけることになりました」と語るほど貴重です。
「先生の手描きの生原稿です。実はこれ、現在発表されているどの単行本にも収録されていない、ストーリーも不明な原稿なんです」(平方さん)
前後のストーリーは平方さんにもわからないといいます。
「絵がすごく上手なことだけがわかる(笑) ペンの細かい筆致やホワイトの跡など、手描きならではの迫力をぜひ生で見ていただきたいです」(平方さん)
印刷物では伝わりきらない、ペンの入り抜きや紙の質感。九井さんの圧倒的な画力を間近で目撃できる貴重なチャンスです。
ライオスの原点? 短編に見る「食への執着」
『ダンジョン飯』の主人公・ライオスといえば、魔物を食べることに並々ならぬ情熱を燃やすキャラクターですが、その原点かもしれない作品の展示もありました。九井さんの初期短編『すごい飯』です。
「男性がコンビニ弁当について熱く語るんですが、表現がいまいち美味しそうじゃない。『石の上に乗ったゴムみたいな物体』とか言うんです」(平方さん)
しかし、その後に続くのは「ゴムだ!食べられない!と思うけど、噛むとふわっと溶けるんだよ」という、食感への異常なまでの探究心。
「とにかく食べたい、美味しいんだ!という熱量と、ちょっとデリカシーのない感じ。これが『ダンジョン飯』のライオスにも繋がっている気がして面白いんです」(平方さん)
会場ではこうした短編作品の深掘り展示も充実しており、九井ワールドの深淵に触れることができます。



















