「人間が駆除されるべき」「山へ返せば良い」北海道福島町でヒグマに襲われ新聞配達員が死亡_寄せられた200件超の"苦情"の詳細が判明_知事「北海道外からものすごい連絡が…仕事にならない」と苦言
北海道南部の福島町で、新聞配達員の52歳の男性がヒグマに襲われ死亡する事故が発生した7月12日以降、北海道庁や福島町役場に200件以上の苦情などが寄せられていることをめぐり、その苦情の内容が一部判明しました。
【手がかりの写真】 相次ぐヒグマの目撃情報 痕跡も次々と―警戒続く北海道福島町
〈死亡事故が発生した7月12日〉
・メールにて
「お前等が熊の駆除をしっかりしないからまた人が殺されたじゃねーかーよ日本で一番危険害獣の熊との共生なんて出来ないんだってのお前等どんだけバカなんだ?絶滅させろって種を残したいなら適当に檻の中で管理しろよいい加減にしろって無能集団が!」
・メールにて
「ヒグマ警報とかそんな意味のないことしないでさっさと熊を駆除しなよ。ちゃんと仕事して下さい。ゾーニングとかそんなことは意味がないので徹底的に駆除しなよ。とにかく駆除駆除駆除。」
・メールにて
「ヒグマを絶滅させなさい。批判があったって大丈夫。全国の熊愛好家のご機嫌ばっか取ってんじゃないよ。仕事しないなら退職しなさいよ!」
〈事故から2日が経ち、商業施設の物置などが壊されているのが見つかった7月14日〉
・電話にて(約5分)
「駆除を進めないから人身事故が起きた。北海道からヒグマを根絶すべき。」
・電話にて(約5分)
「地元が福島町。安心して帰省できない。不安である。ヒグマをすべて駆除し、全滅させてほしい。」
〈事故から4日…町が箱わなを6基設置するなど厳戒態勢が敷かれていた7月16日〉
・電話にて(約1分)
「熊殺し。人間が駆除されるべき。」(一方的に意見を述べられ電話が切られる)
〈クマが駆除された7月18日〉
・電話にて(約5分)
「なんでもかんでもクマを殺すな。クマを山に返すべきだ。里山を復活させるべきだ。」
・電話にて(約10分)
「動物たちは意味があって生きている。麻酔で眠らせて動物園に送り、その姿に癒やされるべき。クマを殺さないでほしい。」
〈2021年に同町内で70代の女性を襲ったクマと同一と発表されてから3日後の7月22日〉
・電話にて(約5分)
「クマの命も大切だ。人を襲ったクマだとか、いい加減なことを言うな。」
・電話にて(約5分)
「なんでもかんでもクマを殺すべきではない。かわいそうだ。麻酔銃を使うなどもっと方法はあるはずだ。狩猟により動物を殺せる世の中が間違っている。」
〈駆除から1週間が経った25日〉
・電話にて(約30分)
「クマを殺すのはかわいそう。動物の命を何だと思っているのか。殺すのではなく、山へ返せば良い。」(同様の意見を繰り返し主張)
この苦情などが殺到していることについては、25日の定例記者会見で北海道の鈴木直道知事が「道外の方からものすごくご連絡をいただいている。人が亡くなっている。ハンターは加害個体に対して命の危険を持ちながら、捕獲していただいていることに理解いただきたい。ご協力をお願いしたい。道外から1〜2時間電話がくる。職員が仕事にならない」と、駆除に理解を求めていました。
8月5日には、浅尾慶一郎環境相も「人の日常生活圏に繰り返し出没するクマや人に危害を加えたクマを放置することは、被害の拡大や再発を招く可能性がある。そのため、時にはクマを捕殺しなければならないことに、国民の皆様にご理解いただきたいと思う」とコメント。
「過度な苦情は、限られた職員数で対応する自治体の活動を制限し、自治体職員やハンターの活動を萎縮させ、新たな事故につながりかねないもの。クマによって不安な生活を送る住民の状況や、人身被害を防止するために必要な対策についてご理解をいただき、節度のある行動をお願いしたいと思う」と話しています。