誰もが笑顔で輝ける“居場所”を作りたい 「W’s」中野恵美佳さん
障がいがあっても同じ人間 「みんな平等な世界にしたい」
――なぜ、農業に取り組みを広げたのですか。
「就労支援事業所は利用時間や業種が限られることが多いのが現状です。私たちにとって(就職や転職する際)当たり前のことが障がいのある方には、当たり前ではありません。彼ら彼女らにも当たり前にしてあげたいという思いから、事業を展開しました。障がい者である以前に、みんな同じ人間。障がい者という言葉に、ちょっと距離を置き、障がい者は仕事の選択肢が狭まる―。そんな差別的な要素を排除して、みんな平等な世界にしたいという思いでやってきました」
――会社のボスとして大切にしていることは?
「心の豊かさです。スタッフの心に余裕があって、心が豊かでなければ、目の前にいる障がいのある利用者さんを本当の意味で支援するのは難しいと感じました。働くママさんも多いので、子連れ出勤もOKにし、どんな人も活躍できるよう、環境を整えることに力を入れてきました。
――心を豊かにするため心掛けていることは?
「体に入れるものから、心はつくられると思うので、食事を大切にし、普段からなるべく添加物を取らないようにしています。お友達と会ってお話しするのも大好きです。やはり自分の心も体も元気でなければ、従業員スタッフ、その先にいるお客さま、利用者さまに本当に良いサービスはできないと思います。まずは私たちスタッフ1人1人が心も体も元気でハッピーに過ごすことから始めようと伝えていました」
世界各国の施設を視察 制度やサービスを学び 新時代の福祉の可能性を探る
――会社として頑張っていることは?
「2024年に同じ志を持つ『ウェルサポ』(札幌)に福祉事業を引き継ぎ、今はそこの顧問としてサポートしています。福祉事業を始めた当初から、ウェルサポ社長の国兼光矢さんは関わり、この大変な役割をやると言ってくれたことが引き継ぎの決め手となりました。私は今後、海外視察なども積極的に行う予定です。日本の福祉は高齢者と障害者で分野、制度が分かれますが、タイやベトナムでは一緒です。障がい者の方も高齢者の方も同じ施設で暮らしています」
――今後、海外で福祉施設を運営する展望もありますか。
「いろいろな国を回って、私自身が海外でも価値の提供できるものがあれば、海外での運営も視野には入れています。逆に、海外の良いものを日本に取り入れ、福祉施設に限らず手掛けることも視野に動いています」
――今後、描く未来は?
「障がい者である以前に『私たちと同じ人間だよ』と、身近に伝えられる世の中になっていったら良いなと思っています」