【人の生活圏にクマその時…】市街地に出没した場合_条件付きで“猟銃使用”可能に_政府が閣議決定…最前線でヒグマと対峙するハンターは歓迎の一方「育成が重要に」北海道
大きな方針の転換です。政府は、これまで禁止されてきた市街地での猟銃の使用について、クマが人の生活圏に出没した場合などに条件付きで可能とする改正案を閣議決定しました。
クマの活動が活発になる春が近づいています。2月、後志の泊村では早くも長さ20センチのクマの足跡が目撃されました。
そうした中、2月21日、大きな方針転換が。
「本日の閣議で鳥獣の保護および管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定されました」(浅尾 慶一郎 環境相)
相次ぐ市街地へのクマの出没。政府は迅速な対応が必要だとして、市町村の判断で特例として市街地での猟銃の使用を可能とする改正案を21日、閣議決定したのです。
「ハンターが撃つことができるようになれば今まで対応しきれなかった事案や対応に時間がかかった事案については解決する筋道が立つようになった」
今回の改正案についてこう語るのは、札幌のヒグマ防除隊の隊長・玉木康雄さんです。札幌にクマが出没した際、最前線で対応してきました。
現在の鳥獣保護管理法は住宅が密集している市街地で猟銃を使用することは禁止されています。市街地に出没した場合は警察官が同行し、人に危険が生じている場合に限って発砲を命じるなどしていました。
今回、発砲が許可される条件はこの4つです。
・クマが住宅地など人の生活圏に出没したり、建物に侵入したりしている。
・緊急に危害を防ぐことが必要になっている。
・迅速に捕獲できる手段がほかにない。
・住民の安全が確保できている。
これらを満たしていることを市町村が確認した上で、ハンターに委託して猟銃の使用が可能になります。
この方針について道民は。
「かわいそうだけど仕方ない。やむを得ないかなと思います」
「市街地で猟銃で駆除するのは人間の命を考えれば安全を考えれば大事だけど、できれば撃たないで麻酔銃などを使って眠らせ、自然に山に帰すのが一番ではないか」(いずれも北海道民)
札幌のヒグマ防除隊の隊長・玉木さん。今回の決定を歓迎する一方、ハンターの育成が今まで以上に大事になるといいます。
「リスクを避けた発砲をしなければいけない現実は変わらない。銃の腕だけではなくコミュニケーション能力、道徳、順法精神、ガバナンスをもった人間を育てるシステムを作っていただく」(札幌のヒグマ防除隊の隊長・玉木康雄さん)
また銃弾が建物に当たるなどした場合は、市町村長が補償する規定も設けられます。今回の法案でハンターの負担軽減も図られることになります。
「(発砲で)何か不祥事が生じた場合にハンターに跳ね返ってくることを危惧していた。前向きに進んだ。緩和されたといっても私たちは発砲する時点ではいろいろな想定をして発砲するので、やはり安全を確認してやっていく」(北海道猟友会 堀江 篤 会長)
迅速な駆除が期待される一方で、安全管理の徹底が欠かせません。今後の運用が注目されます。