【裁判詳報】『殺人罪』を適用 交際相手の女性教師を殺害した元高校教師の男"差し戻し審"で「一緒に死ぬ意思がなかった」"懲役12年"の判決 釧路地裁
2022年に北海道帯広市で交際相手の女性教師を殺害・遺棄した罪に問われた元高校教師の男の差し戻し審で、釧路地裁は2月20日、男に懲役12年の判決を言い渡しました。
北海道・網走市の元高校教師、片桐朱璃被告(38)は2022年5月、帯広市の駐車場で、交際していた元同僚の女性(当時47)の首を締めて殺害し、遺体を雑木林に埋めたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われていました。
釧路地裁の1審判決では「殺人罪」より量刑が軽い「承諾殺人罪」を適用し、懲役6年6か月の判決を言い渡しましたが、検察側は「殺人罪」の適用を求め控訴。
2024年1月、札幌高裁では「被害者の精神状態など事実の取り調べをせず審理を尽くしていない」と1審判決を破棄し、審理を差し戻していました。
やり直しとなった今回の裁判員裁判では、被害者の女性が自らの意志で殺害されることに同意していたかが焦点となりました。
2月20日の判決で、梶川匡志裁判長は「シートベルトをお互いの首に巻きつけ、被害者の力が抜けてからも引っ張り続けた殺意は強固なものである」として「殺人罪」を適用し、片桐被告に懲役12年の判決を言い渡しました。
青いネクタイに黒のスーツ、丸刈り姿の片桐被告は落ち着いた様子で判決を聞いていました。
【事件前の状況】
■片桐被告と被害者はそれぞれ配偶者がいる教師であり、2016年4月から同じ高校で勤務、不倫関係に。2019年以降片桐被告人から別れ話を切り出すも被害者が納得しないため不倫関係を解消できず
■2021年3月ころ、SNSで片桐被告の妻のエコー写真などを見た被害者が憤慨し「責任をとれ」と700万円を要求、片桐被告は300万円を支払う
■2022年に片桐被告が帯広市内の高校に異動する際、被害者と関係を断ち切るために虚偽の新居の住所を教え、妻と子どもと同居することを隠す
■2022年4月3日、被害者が片桐被告へ666回電話をかける。被害者は高校の職員室や寮に電話をかけたこともあった
■4月18日ころ、被害者が片桐被告へ職場に電話したり押しかけたりするのが嫌であれば残りの400万を支払うよう求め、片桐被告は被害者に400万円を支払うも不倫関係は解消できず
■被害者から繰り返し会いたいと言われ、片桐被告と被害者は5月29日に帯広市で合流し、別れ話をしたものの被害者は応じず
■片桐被告の勤務先の高校の駐車場に移動し、仕事をするふりをして被害者を置き去りにして片桐被告の自動車を駐車したまま帰宅
■被害者は鍵がかかっていなかった片桐被告の車内を物色し、車内にあった新型コロナウイルスのワクチン接種券から片桐被告の本当の住所をつきとめる
■被害者が片桐被告の自宅に行き、片桐被告が離婚せず生活を続けていたことがばれる