【釧路湿原メガソーラー問題】建設進める事業会社トップが取材に明言「工事を一時停止」1か月から1か月半の期間…関係機関と協議を行い追加対策 3回目となる“タンチョウ”の調査も実施
「本事業は工事を一時停止します。停止期間は、おおむね1か月から1か月半を目安に」(日本エコロジー 松井 政憲 社長)
北海道の釧路湿原周辺部でのメガソーラー建設を進めていた「日本エコロジー」の松井政憲社長が、UHBの取材に対し工事を一時停止したことを明らかにしました。
その上で、
「関係省庁、北海道、釧路市と協議を行い、誤解を招いた点の経緯の説明と、今後の進め方を共有し復旧計画と追加の保護対策の具体化を進めます。再開は協議結果と安全面の対策を確認の上対応します」(日本エコロジー 松井 政憲 社長)
「日本エコロジー」は釧路市で約6600枚のソーラーパネルの設置を進めていましたが、工事を一時中断して市などに経緯を説明し、協議を行った上で再開したいとしています。
釧路市側は、周辺での希少生物の調査が不十分だとして再調査を求めていました。
「表題が予備調査となっていて、これ以降に本調査が行われ専門家の意見とともにわれわれの元に届くと思っていました」(釧路市立博物館 秋葉 薫 館長)
これに対して松井社長は、市のガイドラインに沿って調査を進め、受理された後に着工したと反論しています。
「予備調査という表現は環境アセスメント法上でも、開発に先立ち行う事前調査を指す一般的な用語となっています。調査が不十分であることを意味するものでは一切ありません」(松井社長)
この反論に対して釧路市側は。
「提出された報告書のタイトルで判断をするようなことはありません。天然記念物の保存の影響評価ができないと評価にいたらないので、総合的な見地で専門家の意見を改めて提出してもらいたい」(釧路市立博物館 秋葉 薫 館長)
「日本エコロジー」はタンチョウについて2度にわたり調査を行い、専門家の意見を市に提出したとしています。
その内容は「営巣は確認されていないが餌場として飛来する可能性がある」というものでした。
しかし、工事現場近くでひなを連れたタンチョウの姿が確認されたことから、市側は再調査を求めたのです。
これに対して「日本エコロジー」は改めて現地調査を実施し、その結果をまもなく提出する予定だとしています。
9月9日には自民党の国会議員らが現地を視察。
松井社長からも意見を聞きました。
視察に訪れた議員は。
「ルールをぎりぎりで対応したから問題ない、どんどん推進していくというのは今の時代にふさわしくない。企業には社会的責任もある」(現地を視察した 古屋 圭司 元防災相)
このような指摘に対して松井社長は。
「必要だから続ける。ただし、一方的には進めません。事実を公開し、疑問に答え、必要に応じて計画を修正します。この積み重ねこそが、私たちの社会的責任そのものと考えています」(松井社長)
一時中断した工事。
今後の行方が注目されます。