【札幌市東区クマ襲撃から4年】市街地での猟銃発砲のあり方が変わる「原則禁止・警察官が命じる」から「自治体の判断」に…しかしハードルは高く“跳弾”の危険性も 自治体は「かなり時間を要する」
今回の法改正により、市街地で駆除は果たして速やかに行えるのか。
玉木さんに札幌中心部にクマが出没したら発砲できるか聞いてみると。
「まず、無理だと思います。見てわかる通り、周辺が硬いものでできています。ここで発砲すれば、どんな射角をとっても跳弾のリスクが避けられないと思います」(玉木さん)
例えば札幌市の大通エリアのような繁華街では、発砲した銃弾が地面などで跳ね返り、人や建物に当たる危険性があるというのです。
「実際にここでクマが出た場合には、発砲は本当に難しいと思います」(玉木さん)
一方で改正された法律には、銃弾が人や建物などに当たった際に自治体が補償する規定が盛り込まれました。
その点は評価できるといいます。
「執行命令を出した行政がきちんと補償する、セーフティネットが用意されている」(玉木さん)
実際に発砲の判断を下すことになる自治体。
札幌市はどのように考えているのでしょうか。
「環境省がガイドラインを整えているところなので、具体的に何が必要というところはまだわからない」(札幌市環境局 坂田一人環境共生担当課長)
発砲の指示を出す具体的な状況については、まだ固まっていないのが現実です。
その上で。
「市街地で銃を発砲することは、かなり時間を要する。ハードルが高い条件が整わないことには、発砲できないということになっている」(坂田担当課長)
発砲の判断をするには、専門知識や経験を持った職員の存在が不可欠です。
そのような人材の育成が急務となります。
また、いま以上に猟友会などとの連携も必要になります。
「これまで出てこなかった場所にも、クマは出てくる可能性があるというのが教訓になった。遭遇したらどうすればいいか、クマと人間の共生について考えてほしい」(伊吾田准教授)
札幌市東区のクマ襲撃から4年。
市街地での駆除のあり方を整備する一方で、クマを市街地に近づけない方策も重要です。