【特集】〈過去の罪と向き合い生きる〉 出所者の「居場所」再出発を支える支援…再犯者の「7割が無職」社会と“孤立”せず生きていくために必要なものー北海道札幌市
再犯者のうち7割が無職
2023年、出所した人は1万7000人ほどいますが、そのうち内定は1400件ほどで内定は1割にも届いていません。
「刑務所の中でずっと求人票を見ていました。やはり見るのは整備に関する仕事。運と巡り合いがあったおかげでいまの会社に勤められていると思っている」(三浦さん)
出所から約2か月後に就職が決まった三浦さん。
きっかけは出所者の社会復帰を支える日本財団の「職親(しょくしん)プロジェクト」という取り組みでした。
取り組みの一番の狙いは「再犯の防止」です。
再犯者のうち無職だった人は7割にも及ぶため、「社会からの孤立」を防ぐため、登録企業が親代わりとなり支えているのです。
受刑者と出所前から心を通わせる
「一番最初はこわくなかった?話しづらい。話しづらいって使えないじゃん」
三浦さんが働く「弘和通商」。
休憩の時は和やかなムードです。
話しの中心にいる「親代わり」の1人が常務の山田慎也さんです。
ウソをつかない、一人で決めず相談する。
山田さんは受刑者と出所前から心を通わせ、採用の面接に臨みます。
現在、従業員は95人いますが、そのうちの7人が出所者です。
採用を進める背景にはドライバーや整備士が不足する物流業界の深刻な事情もあります。
「社会貢献の部分もそうだし、運送業界での人手不足も両方解消できるなって。(採用は)殺人・性犯罪・薬の3つはNGにしましょうって決めている」(弘和通商 山田慎也常務)
「会社からもっと信用され、必要とされるように」
仲條博志(なかじょう・ひろし)さんも2023年、このプロジェクトで採用した1人です。
いまは食品などの在庫管理を担っています。
仲條さんは2018年、偽の手形を金融機関に提出し金をだまし取った金融商品取引法違反の罪で懲役5年の実刑判決を受けました。
「会社からもっと信用されて、会社からもっと必要とされる人にならなければいけない」 (仲條さん)
「普通に話して、しかも気さくなので、グイグイくるので全然、自然でいいんだって。(元受刑者だと)忘れてきてしまっているっていう感じ」(従業員)
「過ちは誰にでもあるので過去に何かしたからといって差別するとかない。上司にあたる方なので尊敬しています」(従業員)
「ははは、あーそうなんだ」(仲條さん)
過去と向き合い、ともに歩む
一方、整備士の三浦さんは丁寧な仕事ぶりと人柄が評価され、去年、工場長に任命されました。
これまで工場長を務めていた菅野さんが指名したのです。
「これはみっけもんだと思って。会社は手放さないようにしてほしい」(菅野さん)
「みんな人柄が良いので居心地が良い。それに甘えることなく厳しく仕事をしていきたい。会社に貢献して頑張っていきたい」(三浦さん)
「頑張って」(菅野さん)
「ありがとうございます」(三浦さん)
過去と向き合い、社会から孤立させずにともに歩む。
再出発を支える支援がきょうも続いています。