クマ駆除のルールが変わる 市街地での発砲が市町村の判断で可能に…新制度での駆除訓練を実施 手順や連携を確認…ハンターには“刑事責任”の懸念も 北海道猟友会は「断ることもあり得る」
連日クマの出没が相次いでいる北海道南部の江差町で、駆除の訓練が行われました。
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一方で北海道猟友会は、市街地での猟銃の使用でハンターが刑事責任を問われる事態を懸念しています。
その隣町の江差町では、クマの駆除の訓練が行われました。
これまで市街地では、警察が命じた場合などを除き猟銃の使用は原則禁止でした。
法律の改正により9月からは市町村の判断で発砲が可能になります。
訓練には町や警察、ハンターなどあわせて32人が参加して連携を確認しました。
発砲を許可する腕章が町からハンターに渡され、訓練では模擬銃が使われました。
「どういう手順や判断が必要かを机上訓練で確認し、実地訓練で発砲に至るまでをできた」(桧山振興局 環境生活課 田中敏明課長)
クマが市街地に出没して人を襲ったり、農作物を食い荒らしたりするケースが相次いでいます。
そんな中で9月から新しい制度での駆除が始まりますが、北海道猟友会は人身事故が発生した場合にハンターが刑事責任を問われる懸念があるとして、北海道とともに環境省に見解を求めています。
「自らの危険も感じながら協力した中で、きちんと保障してほしいというのは当然のことだと思う。(環境省から)どんな回答になるのか、猟友会と注視している」(鈴木直道北海道知事)
環境省によりますと、周囲の安全確保など法律に定められた条件を満たした上で市町村が発砲を許可した場合は「基本的にハンターの刑事責任は問われないと考えられる」としています。
ただ、北海道猟友会は明確でない部分もあると懸念しています。
「ハンターの保障がされない場合、(発砲を)断ることもあり得る」(北海道猟友会 堀江篤会長)
北海道猟友会は市町村から発砲を要請されても拒否できると全71支部に通知することを検討しています。