【コンサドーレ】「真似したって何も始まらない」“描く理想像はオリジナル”深井一希独占インタビュー(2)度重なる試練から這い上がり続けた“不屈の男”の足跡をたどる(コンサラボ/UHB北海道文化放送)
「どんな状況でも、諦めなければ奇跡は起こるというのを、自分のゴールで体現できた」

現役引退翌日、インタビューに応じた
深井自身の胸に最も深く刻まれた試合、それは2019年のYBCルヴァンカップ決勝vs川崎フロンターレ。会場となった埼玉スタジアム2〇〇2のスタンドで、全国中継されたテレビ画面の前で、全ての札幌サポーターが固唾をのんだ1点ビハインドの後半アディショナルタイム5分。敗北が目の前に迫った、まさに土壇場の状況で福森晃斗のコーナーキックを頭で合わせたのは、幾度の大怪我に見舞われながらも、折れず腐らず這い上がり続けた“不屈の男”であった。
試合後に「色んな方々の声援や思いが乗り移ったゴールだった」と振り返った通り、サポーターの願いを一身に受け、自ら背負ったドラマを体現する“北海道民の思い”を乗せたゴールは、29年を数えるクラブ史のハイライトに違いない。
「北海道は、他の地域と比べて良い選手が少ないと昔から言われてきました。その中で、自分含めアカデミー出身・北海道出身の選手が今、こうやってレギュラーで試合に出ている。今後そういう選手たちが日本代表になって、“北海道は凄いんだ”というのをもっともっと見せていけるように頑張りたい」。
激闘を終えた直後に飛び出したこの決意は、彼のセカンドキャリアにとってもまた、大きな指針となるはずである。
「色々と見つめ直して、クラブとして変わっていかなといけない」

J1昇格が消滅したvs千葉(A)の試合後取材
昇格が消滅したJ2第35節vsジェフユナイテッド千葉(A)の試合後、24試合ぶりにピッチへ戻ってきた深井は、警鐘を鳴らした。
引退会見で、この発言の真意を改めて尋ねると、返ってきたのは「僕はこの13年間いて、良い時と悪い時の両方を見てきました。最近でいうと、アカデミーから上がってくる選手がなかなかいなかったり、即戦力になれていないというのが、ひとつ課題かなと。高卒でもチームの即戦力になれる選手を、まず育成していかなきゃいけない。育てて、しっかり試合に出て、チームを代表する選手になった時に、他のチームに引き抜かれてしまったりということもあった。そこでチームが、その選手を残していくというところを頑張れないと、やっぱり大きくなっていけない。生々しいところで言うと、お金でこのチームに残していけるのか。もしくはこのチームの魅力で残していけるのか。そこはわからないですけど、ここでもっと戦いたい、タイトルを獲りたいという選手を残していける、そしてもっと大きくなっていくように、チームとしては考えていかないといけないんじゃないかなと思いますね」という言葉であった。
これが、この会見中で最長の回答であったことに、その発言の重みが表れていた。










