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【日本ハム】横尾俊建コーチ×鶴岡慎也 本塁打12球団トップの理由とは 新庄采配の舞台裏と万波セーフティースクイズの真相

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 北海道日本ハムファイターズが3、4月に放った本塁打は35本で12球団トップ。なぜここまで本塁打を量産できているのか。その背景を知るキーパーソンである横尾俊建打撃コーチに、UHB野球解説の鶴岡慎也氏が迫りました。

 横尾コーチは2023年に現役を引退。現役時代は「おにぎり君」の愛称で親しまれ、ファームコーチを経て、今シーズンから1軍打撃コーチに就任しました。

 鶴岡氏から4月の本塁打量産について問われると、横尾コーチは笑いを交えながら「飛ぶボールなんじゃないですか?」とコメント。そのうえで、打撃好調の本当の要因として秋季キャンプからの積み上げを挙げました。「キャンプに入った時からすごいなと思った」

 横尾コーチによると、秋季キャンプは練習時間こそ短いものの、その後のミーティングが1人あたり2時間ほどに及ぶこともあったといいます。「選手たちがすごく貪欲に質問してきて、2時間かかることもあった。それをオフシーズンに取り組んでくれて、キャンプの打撃練習を見た時に、すごいなと思った」選手たちの高い意識に、確かな手応えを感じていたようです。

横尾俊建コーチと鶴岡慎也氏

 また、新庄監督の指導スタイルについても言及しました。コーチ就任後、選手へのアプローチ方法に驚いたといいます。「現役の頃は、選手の可能性より少し低いところを前提に教えられることが多かった。『お前はできないんだから、こっちをやりなさい』という感じです。でもBOSSは、その選手の最高のパフォーマンスを想像して話す。ミーティングでも、僕らも最高を目指してやるので、方向性が一致している」

 さらに、具体例として五十幡亮汰選手や山縣秀選手の名前を挙げました。「五十幡も、当てにいくのではなく、ツーベースや野手の間を抜ける強い打球を打てるようにと考えている。山縣についても、甘いところに来たらホームラン打てる力があるので、そこは絶対消さないようにしている。小技ができる選手に対しても、BOSSはきちんとしたアプローチをしてくれるので、僕らもそれに沿ったミーティングができている」

 鶴岡氏から万波中正選手の打撃について問われると、横尾コーチはこう分析しました。「万波は、そもそも打率が高い選手ではなくて、本当に強打者なんですよ。だから、こっちが期待するようなチャンスの場面で『最低限これやってくれ』という、状況に応じたバッティングは苦手なタイプ。ただ、試合の状況とか雰囲気とか関係なく、それを一振りで変えられる力を持っているので、『打率ではないところで勝負していこうよ』っていう話は、もう秋のキャンプでできている」

楽天時代の経験も活きていると語る横尾コーチ

 現役時代は豪快なフルスイングが持ち味だった横尾コーチ。タイプの異なる打者に、どのようにアプローチしているのでしょうか。

 横尾コーチは楽天時代、最後は1軍の試合に出場できず、三木肇監督のもとでプレーした経験にも触れました。仙台市泉区にあるファーム練習場は、常に逆風が吹く球場だったといいます。その時、三木監督にこう言われたそうです。「こういう地方球場など、逆風の場面はたくさんある。そんな時にホームランだけ狙っていても活躍できない。自分でどうやったらヒットを打てるかを考えてやりなさい」

 さらに、「相手が横尾選手の事をどう思っているのか、というところまで深く考えて、ヒットを打つ方法を考えてみなさい」と助言を受けたことで、ホームランだけでなく、ヒットを打つためにどうすべきかを学んだといいます。この経験によって、アベレージヒッターの気持ちも分かるようになったと話しました。

「万波は下ブレMAX」と語る横尾コーチ

  現代野球では、出塁率と長打率を足し合わせた指標「OPS」が重視されています。横尾コーチがOPSを上げる要素として特に重要だと挙げるのが、打球速度、スイングスピード、そして「除脂肪量指数(FFMI)」です。

 除脂肪量指数とは、体脂肪を除いた体重を身長で補正した指標で、パワーの土台となる筋肉・除脂肪組織の量を表す指標。横尾コーチは、400打席程度であれば「運」で3割4分ほど打てる可能性はあるが、これが1500打席になった時、この「能力」が低いと、結局は「能力」通りの数字に収まってしまうといいます。

 鶴岡氏から、この数値が高いにもかかわらず結果が出ていない選手へのアプローチを問われると、横尾コーチは万波選手の名前を挙げました。「数値はえげつない。でも実質のOPSと打率は低い」打球速度やスイングスピードといったポテンシャルを示す指標は優れているにもかかわらず、実際の成績に結びついていない現状があるといいます。

 それでも「裏のデータに基づいて、実質のOPSは大事だけど、そこを意識すると当てにいったり、いろんな悪さが出てしまう」と語り、「これだけ良い数値が残っているというのを見せて、『安心しな。でも実際は結果を残さないといけない競技』」という難しい面があることを明かしました。そして「万波は下ブレMAXなので、上がっていくと思います」と言い切りました。

万波中正選手

 鶴岡氏が特に聞きたかったこととして、万波選手が5月1日(金)の試合の4回裏、チームが2点リードで迎えた1死一、三塁の場面で見せたセーフティースクイズについて尋ねると、横尾コーチはこう語りました。「あれはBOSSのすごさだけしかない」。そして、「あそこでセーフティースクイズのサインを出せるのは12球団でBOSSだけ。だから決まるし、万波もバッティング練習から結構練習しているんです。常にどの選手にサインが出るか分からないからやりなさいと、BOSSからずっとキャンプから言われていた」と続けました。さらに、「万波はあの場面、一、三塁になった時に初球でサインが出ると思ったらしいです」と明かし、新庄監督の作戦がチームに浸透していることを示す場面となりました。

 チームの三振数が多い点については、「知らなかったです」と横尾コーチは率直にコメント。「1人1人のデータは分かるが、チームの三振数はわからない。三振数が多い万波については、数値を見たら他よりは振っていない。でも三振は多いから目立つ。メジャーに行った岡本、村上よりもしてないから、まだ耐えているよね、というアプローチをしている」さらに、「打球速度が157キロで両リーグでたぶんトップ、そういうところがあるからこそ、その三振にも価値がある」と語りました。

UHB野球中継で解説中の鶴岡慎也氏(右)

 最後に鶴岡氏が「まだ5か月ありますが、どういう打撃陣にしていきたいか」と問うと、横尾コーチはこう語りました。「最近、ホームランが減っていたりして、プロ野球すごいなと思って。相手の配球とかもすごく変わってきている。今までは配球の話とかはしなかったが、相手の攻め方がこうなってきていますよという、いたちごっこが始まった」その上で、「ここからまた打てるような気もする」と前を向きました。鶴岡氏も「期待しています。打線爆発よろしくお願いします」と締めくくりました。

 鶴岡氏との軽妙なやり取りの中で、ファイターズ打撃陣への期待感が伝わる内容となりました。鶴岡氏は16日のUHB野球中継の中で、横尾コーチについて「数値的なアドバイスに加えて、メンタルケアもしっかりしていると思う」と語り、「数字をプラスの方向に持っていく仕事が大きくなっていく」と、その重要性に改めて言及しました。横尾コーチが見据えるファイターズ打線の今後に、注目が集まります。




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