きみと、ずっと。UHB|北海道文化放送

無観客競馬

2020/07/28

吉田 雅英

今年の中央競馬の北海道開催が6月13日(土)の函館競馬から始まりました。
ご存じの通り今年は新型コロナウィルス感染症拡大防止の為、競馬場内は無観客での開催となりました。
私たち競馬中継に携わる者としても全く初めての経験なのでいったいどんな雰囲気になるのか想像もつきませんでした。
結局、UHBの競馬中継はMC陣が札幌のUHB本社スタジオからのリモートでの司会となり、競馬場からは解説者のお二人と実況アナウンサーがお伝えするという形になりました。

私もUHBに入社以来、競馬中継に携わっていますが無観客の競馬場での実況は初めてのことです。
まず、函館競馬場に到着するといつもは開門前から多くのファンで賑わう正面の入り口前も人影は無くひっそりとしていて、立ち入り禁止の柵が置かれて警備員が監視しているといった寂しい状況でした。
競馬場事務所の入り口を入りスタンド最上階にある放送席まで上がるのですが、
上がっていく途中も例年ならいろいろな人と行きかう廊下もシーンとしていて
場内の人員も制限されているのがわかりました。

そして放送席に到着。窓からは前方に津軽海峡が広がり右手に函館山が見える、いつもと変わらないロケーションに少しほっとしました。


やがてその日の第1レースに出走する馬たちが何の前触れもなくパドックに姿を現わします。普段ですと馬券発売開始を知らせるブザーとアナウンスが場内に流れるので、それをきっかけにパドックに馬が出てきたことを察知するのですが、場内では馬券発売はしてないので、当然そういう放送も一切ありませんでした。


無観客ということで普段当たり前のことが行われていないことへの戸惑いと違和感がありました。
そうこうしているうちに第1レースのスタート時刻を迎えます。

無人のスタンドに響き渡るファンファーレ。本来ですとここで場内の観客の緊張感も高まっていくのですが、そういった観客の反応は無く物静かな状態のままゲートインが行われてレースが始まります。
レース実況をしている最中はヘッドフォンマイクをつけてレースに集中しているので
ほとんど違和感がなく普段通りでしたが、その場に居たスタッフに聞くと
レース中は実況しているアナウンサーの声が無人のスタンドに響き渡り、直線の攻防では
馬の蹄の音と鞭の音、騎手の掛け声などがよく聞こえたそうです。


レースが終わったあとも勝者がウィナーズサークルでファンに応えることもなく淡々と次のレースへと進んでいきます。
こんな調子で最終レースまで進行していきます。
この状況を何かで例えるなら『味のない料理をただ淡々と食べ続けるみたいなもの』でしょうか?
『食感はある、咀嚼する音も聞こえる、お腹もいっぱいになる、でも何かが足りない』
『味気ない』という表現がありますが、まさに無観客競馬は『味気ない』ものでした。

やはりファンの歓声というのは競馬には無くてはならないもの、まさに
レースに彩を添えてくれるものではないでしょうか?
7月19日(日)に函館競馬は最終日を迎え今年の函館開催はとうとう全日程が無観客という異例の事態となりました。


7月25日(土)からは札幌競馬が始まりましたが、引き続き新型コロナウィルス感染症拡大防止の為、前半の8月9日(日)までは無観客での開催が決定しています。
札幌の後半は何とか競馬場にファンの皆さんの姿が戻り、いつもの盛り上がりがみられるようになってもらいたいと願っています。


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