犬や猫たちの専門医… チームで"高度な治療" 家族のケアも「アイリス動物医療センター」中村匡佑さん #BOSSTALK
動物の専門医がチームをつくり、高度な治療を提供する札幌市白石区の「アイリス動物医療センター」。大学病院のひっ迫を防ごうとマチの動物病院の間に立つ「1.5次診療」を目指しています。家族のケアの重要性を説く院長の中村匡佑さんに動物の医療体制の現状を聞きました。
ある日 家に帰ったら…"犬" 獣医師目指すきっかけに

動物の専門医がチームで高度な治療を提供
――"動物医療センター"と"動物病院"の違いは?
街のお医者さんは、1次診療と呼ばれることが多い。一方で、高度な医療や先進医療を受けられる大学病院は、2次診療施設とされています。
私たちアイリス動物医療センターは、1次診療と2次診療の中間の1.5次診療を目指しているので、このような名前を付けました。
――幼いころから獣医を目指していましたか?
中学生のころは進路に迷っていました。工業系の高専に進学しようと思っていました。
ある日、家に帰ったら犬がいたんですよ。そこから犬を飼い始め、動物病院に通うこともあり、命を救う職業に憧れ、獣医師になろうと決めました。
――進学はどちらに?
日本大学の獣医学科に進学し、6年間学びました。
――大学を卒業後は?
地元の札幌市に戻り、いくつか札幌市内の動物病院で働きました。院長先生の技術や考え方、話し方をいわゆる"盗む"。背中を見て学びました。
――職人の世界のようですね。
本当にその通り。我々は職人のような側面がある職業だなと思います。
「救える命を救う」1.5次診療だからできること

前身のアイリス犬猫病院をリニューアルして2020年開院
――いくつかの動物病院で働いた中で、どのような方向性に進もうと考えましたか?
最初は開業志向はありませんでした。ただ、街のお医者さんをやっていると「もう少し設備があると助けられるのに」「僕が自由に動けていれば、こういう治療ができるのに」と感じるが多くなってきたんです。
徐々に開業したい意欲が出てきて、やっぱり開業するしかないんだなと思ったんですよね。
――開業したのはいつごろですか?
2015年の7月。「アイリス犬猫動物病院」という名前で、街のお医者さんとして開業しました。元々、そこで長くやるつもりはなくて。移転することをあらかじめ計画に入れたうえで、開業しました。
――街のお医者さんから、1.5次診療にアップデート。場所も変えて、新たに始めたということですか?
1.5次診療は僕の中では必要でしたし、自分の土地を買って、自分の建物を建てるのは、経営者として一国一城の主になった実感が湧きました。
――"1.5次診療"の必要性を教えてください。
各獣医師のレベルによって様々。レベルの高い1次診療の先生であれば対応できるような手術でも、大学病院に行くこともあります。
そうなると、大学病院の予約もひっ迫してきてしまう。本当に2次診療が必要で命が切迫している子が、大学病院での治療を受けられない状況になってしまいます。
救える命が救えない。我々のような1.5次診療施設が2次診療と1次診療の間にあることで、大学病院は切迫した命を救うような場になってほしいのです。