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「赤ちゃんから苦しめと責められる夢を見る」乳児殺害コインロッカー遺棄 23歳女の控訴審 弁護側「福祉機関でケア必要」

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小関彩乃被告(2023年2月の一審判決時のスケッチ)

 2022年5月、自らが出産した男の赤ちゃんを殺害し、遺体をクーラーボックスに入れてJR千歳駅のコインロッカーに放置した罪に問われ、一審判決で懲役5年の実刑判決を言い渡された23歳の女の控訴審初公判が開かれ、弁護側は"懲役3年 保護観察付執行猶予"の判決を求めました。

 住所不定・無職の小関彩乃被告(23)は2022年5月、札幌市中央区内のホテルで出産した男の赤ちゃんを湯を張った浴槽に沈めて窒息死させ、遺体をクーラーボックスに入れてJR千歳駅のコインロッカーに放置したとして、殺人と死体遺棄の罪に問われています。

赤ちゃんの遺体が発見されたJR千歳駅(2022年6月)

 2023年2月、一審の札幌地方裁判所は「未来ある赤ちゃんの生命を奪う重大な犯行」と指摘した一方、「孤立出産という肉体的精神的負担がかかり、助けを求めるなど冷静な判断は容易ではなかった。意思に反した妊娠をしていて、周囲に相談しづらかったことは理解できる」などと述べ、小関被告に懲役5年の実刑判決(求刑懲役8年)を言い渡し、小関被告はこの判決を不服として札幌高等裁判所に控訴していました。

 4月27日、札幌高裁での控訴審初公判で弁護側は「一審判決は小関被告の境界知能やグレーゾーンのADHDといった知的能力が考慮されていない。知的能力の影響で他者に相談することが極度に苦手で、問題を先送りにして、出産を迎えたことで怖くなり、明確な動機がないまま突発的に犯行に及んでいるため、一審判決は重すぎて不当だ」と主張しました。

赤ちゃんが遺棄されていたコインロッカー


 弁護側は小関被告の妊娠の経緯や性格について、「勤めていた風俗店の男性客に性的暴行を受けて妊娠している。その事実を当時交際していた別の男性に告げれば、関係を断たれてしまうことを恐れていた。知的能力に加え、中学や高校時代にいじめを受けた経験から自己肯定感が低く、自分を受け入れてくれる存在に依存しがちだった」と主張。

 また「刑事施設における矯正教育より、福祉機関と繋がり、継続的なケアを送ることが重要。社会福祉士により社会復帰した際の更生支援計画が作成され、母親も全力で支援することを約束している」などとして、一審判決の破棄と懲役3年保護観察付執行猶予の判決を求めました。

札幌高裁

 小関被告は被告人質問で「赤ちゃんから『苦しめ』と責められる夢を見る。一方、その赤ちゃんが大きくなって一緒に遊園地に行く夢も見る」と語り、謝罪と反省については「毎日寝る前に手を合わせていて、後悔の気持ちを日記につづっている」と話しました。

 これに対して、検察側は「理由がなく、控訴は棄却されるべき」と主張しました。

 二審の判決の言い渡しは5月23日の予定です。

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